ウクライナの原子力発電所の状況 #86


ウクライナの状況に関するIAEA事務局長声明 169号(現地時間202373日)[仮訳]

国際原子力機関(IAEA)のラファエル・マリアーノ・グロッシー事務局長は本日、ウクライナのザポリージャ原子力発電所(ZNPP)が、予備送電線と4か月ぶりに再接続されたと発表。しかし依然として、ZNPPを取り巻く電力事情は極めて脆弱であり、持続可能ではないという。

ZNPPの330kV送電線(紛争前には6系統あった予備送電線)との接続は、ドニプロ川の対岸で損傷を受け3月1日に切断され、7月1日夜に復旧した。この送電線の再接続作業は、南部地域の悪化する治安状況によって妨げられていた。

ZNPPは過去数か月間、原子炉冷却やその他の原子力安全・セキュリテイに不可欠な外部電源を750kVの幹線1系統に頼っていたため、330kV送電線との再接続は重要な意味を持つ。2022年2月に紛争が始まる前は、4系統の750kV送電線があった。

現在、330kV送電線が稼働しており、750kV送電線が使用できなくなったり損傷したりした場合にZNPPに電力を供給できるよう、バックアップ用として維持されている。

紛争中、ZNPPはこれまでに7回、外部電源を喪失し、一時的にサイト内の非常用ディーゼル発電機に電源を頼ることを余儀なくされた。

グロッシー事務局長は、「バックアップの送電線との再接続は喜ばしいことだが、発電所の外部電源の状況は依然として非常に脆弱であり、発電所の原子力安全とセキュリテイの状況が不安定であることを浮き彫りにしている」と語った。

https://www.iaea.org/newscenter/pressreleases/update-169-iaea-director-general-statement-on-situation-in-ukraine-0


※日本原子力産業協会は、ウクライナの原子力発電所及び都市名等の名称については、ウクライナ語および表記・発音に基づく以下の表記を使用します。
 フメルニツキー、リウネ、南ウクライナ、ザポリージャ、チョルノービリ(チェルノブイリ)、
 キーウ(キエフ)、ハリキウ(ハリコフ)

※ロシア軍によるチョルノービリ原子力発電所の占拠期間:2022年2月24日~2022年3月31日

 ロシア軍によるザポリージャ原子力発電所の占拠期間:2022年3月4日~

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