ウクライナの原子力発電所の状況 #87
◆ウクライナの状況に関するIAEA事務局長声明 第170号(現地時間2023年7月4日)[仮訳]
国際原子力機関 (IAEA) のラファエル・マリアーノ・グロッシー事務局長が本日明らかにしたところによると、ウクライナのザポリージャ原子力発電所(ZNPP)は今朝早く外部主要送電線との接続を失い、原子力安全とセキュリティ機能に必要な電力を、復旧したばかりの予備送電線に頼らざるを得なくなった。
紛争前に利用可能だった4系統のうち、ZNPPに唯一残っていた750kV送電線は、現地時間の本日午前1時21分に切断された。切断の原因や復旧までの見通しは不明。
欧州最大の原子力発電所(ZNPP)では、2022年初頭の紛争開始以来、外部電源との接続が脆弱であることから、原子力安全とセキュリティのリスクが悪化している。
750 kV送電線の切断によりZNPPは、プラントの冷却水の汲み上げなどに必要な外部電源用に、唯一利用可能な330 kVのバックアップ送電線に切り替える必要があった。この330 kV送電線は、4か月前に損傷して以来、7月1日にようやく発電所に再接続されたばかりだ。 「今回、ZNPPはすべての外部電源の完全な喪失を回避できたが、外部電源喪失は紛争中、これまでに7回起きており、今回の送電線切断は、発電所における原子力安全とセキュリティの不安定な状況をあらためて浮き彫りにしている」とグロッシー事務局長は述べた。
※日本原子力産業協会は、ウクライナの原子力発電所及び都市名等の名称については、ウクライナ語および表記・発音に基づく以下の表記を使用します。
フメルニツキー、リウネ、南ウクライナ、ザポリージャ、チョルノービリ(チェルノブイリ)、
キーウ(キエフ)、ハリキウ(ハリコフ)
※ロシア軍によるチョルノービリ原子力発電所の占拠期間:2022年2月24日~2022年3月31日
ロシア軍によるザポリージャ原子力発電所の占拠期間:2022年3月4日~
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