世界エネルギー見通し2021年版 概要紹介(電力・原子力中心に)
国際エネルギー機関(IEA)は2021年10月13日、「世界エネルギー見通し2021年版(WEO2021)」を公表しました。今回のWEOは、英国グラスゴーで開催される国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26, 開催日程:2021年10月31日~11月12日)向けのガイドブックとして公表され、複数のシナリオとケーススタディにより、各国のクリーンエネルギー移行への進捗状況や世界の平均気温の上昇を1.5℃以下に抑えるための今後取り組むべき方向性などについて、詳解しています(10月15日付原子力産業新聞既報)。
報告書では近年、風力や太陽光といった再生可能エネルギーや電気自動車などのクリーンエネルギー技術の開発が加速化し、新たな世界のエネルギー経済が台頭しつつあるとする一方、2050年ネットゼロ(CO2排出量実質ゼロ)に向けたエネルギー移行への道のりは長く、その移行ペースも遅いと警鐘を鳴らしています。また平均気温の上昇を1.5℃以下に抑えていくための方策として、IEAは、①クリーンな電化、②エネルギー効率の向上、③メタン削減、④イノベーション、の4つを挙げ、そのうちの①クリーンな電化では、具体的には、現在発表されている誓約と比べて太陽光発電と風力発電の導入規模を2倍にするほか、受け入れ可能な場所での原子力発電の利用を含む他の低排出発電の大幅な拡大、石炭の急速な段階的廃止、および輸送と暖房の電力利用拡大の推進などを挙げています。
今後の電力・原子力の見通しについて、IEAは、再生可能エネルギーの力強い成長はすべてのシナリオで継続するとしていますが、原子力発電の見通しについては不透明感が強く、既存炉、新規建設ともに、今後の政策決定が鍵を握るとの見方を示しています。さらに小型モジュール炉(SMR)など革新的原子力発電技術は、熱電併給や水素製造といった電力以外の用途を期待できるものの、そのためには技術革新を一層加速するなど、実現の見通しを改善する必要があると指摘しています。
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以 上
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