第61回IAEA総会への参加(ブース展示およびIAEA 幹部との会談)(2017.09.18~22)
原産協会は、2017年9月18日(月)~22日(金)の期間、オーストリア・ウィーン市のVienna International Center(VIC)で開催された国際原子力機関(IAEA) の第61回総会にオブザーバー参加するとともに、政府および民間関係機関と連携協力のもとでの日本ブース展示をとりまとめ、わが国の原子力についてアピールを行いました。また同期間中、IAEA幹部との会談を積極的に行い、日本の原子力の状況についての発信に努めました。
日本ブース全体概要
今年の日本ブースは、過去2年同様、「Life, Safety and Prosperity」を基本テーマとし、日本は人々のくらしと安全を守り繁栄のために原子力の平和利用を進めることを、総会参加の各国の外交官や原子力・科学技術関係者、IAEA職員等に訴求するため、多くの機関が提供した多様性に富む日本の原子力をめぐる最新状況をアピールしました。
参加機関
- 公式参加8機関:内閣府、日本原子力産業協会、東芝、日立GEニュークリア・エナジー、三菱重工業、東京電力ホールディングス、量子科学技術研究開発機構、日本原子力研究開発機構
- 部分参加4機関:外務省、文部科学省、経済産業省、国際廃炉研究開発機構(初参加)
- 来訪者数:延べ820名。
- 主な来訪者:松山政司 科学技術政策担当大臣(日本政府代表)、天野之弥 IAEA 事務局長、岡芳明 原子力委員長、マグウッドOECD/NEA事務局長、ほか 主要原子力発電国や新規導入国、その他開発途上国の各国代表団、IAEA職員・コンサルタント・専門家等。
ブースデザインと展示内容
1.ブーススペース・位置
従来日本ブースは「幅6m×奥行き2m」のスペースを利用していましたが、注目度が高まることが期待されるため、今年は初めて場ブース配置の中で中心に近く人通りが多い場所に位置する「幅4m×奥行き3m」のブーススペースを選択しました。
2.展示内容
A. 最新の原子力発電プラント技術【模型 ATMEA1=三菱重工(ATMEA)】
B. 先進的な研究開発【模型 核変換技術実験施設(ADS)=JAEA】
C. 福島第一発電所廃炉の進捗【模型 福島第一3号機調査用水中ロボット=東芝】
D. 最新の医療(がん治療)研究開発【模型 第5世代量子メス(Quantum Scalpel)=QST】
E. A~Dに関連した各機関からの提供資料および映像【映像「A New Chapter Begins」(わが国の原子力発電の歴史と将来展望=原産協会)等】、福島 第一廃炉の進捗状況等
3.環境への配慮
「Green Exhibition」促進のため、大部の紙資料やノベルティの配布は必要最低限とし、初めて特設ウェブサイトを設け日本ブース資料をダウンロード可能としました。(周知のためのビジネスカードを作成配布)
来訪者
展示オープニングセレモニー(展示初日)
今回、日本ブースとして初めてオープニングセレモニーを実施し、松山科学技術大臣と天野事務局長が来賓としてスピーチしました。松山大臣は、原子力技術が人々の暮らしを豊かにしてくれる潜在力は極めて大きいとした上で、今年の日本ブースは有益で魅力的な展示だと評価しました。天野事務局長は、セレモニーへの出席を喜ばしく思うと述べるとともに、発電だけでなく医療などの分野でも幅広く利用されている原子力の有用性を強調しました。
毎年日本ブースでは福島県産品を提供していますが、今回のセレモニーでは、高橋原産協会理事長が挨拶に立ち、展示会の成功を祈念して福島県産の日本酒で乾杯を行いました。
高橋理事長、天野IAEA事務局長らと会談
IAEA総会期間中、高橋理事長は天野事務局長を始めとするIAEA幹部と懇談を精力的に行いました。一連の会談で、原産側からは原子力を取り巻く日本の最近の状況(再稼働、バックエンド関連、福島第一(オンサイト・オフサイト)の状況、世論調査結果、エネルギー基本計画の改訂着手等)について説明しました。
(1)天野事務局長
今井原産協会会長からの3期目就任の祝い状を手交した後、意見交換を行いました。天野事務局長からは、日本国内の論調とは違い、外国訪問時、関係者からは日本の再稼働に対して前向きに捉えた評価がされていることの紹介があったほか、IAEAが力を入れようとしているのが、気候変動に対する原子力発電の貢献を感覚的に理解してもらうことであり、そのためには、一般の人々に分かりやすい例えや語り口の説明が重要だとの発言がありました。
(2)レンティッホ原子力安全・セキュリティ局担当事務局次長
レンティッホ次長からは、IAEAのIRRSを受けての日本での検査制度改訂(ROP導入)について関心が示され、特に検査制度に関わる場合は、当事者の物の考え方(マインドセット)を大きく変える必要があるとの見方が示されました。
(3)チュダコフ原子力エネルギー局担当事務局次長
チュダコフ次長は、IAEAと日本との協力による人材育成活動を評価すると述べたほか、今後も日本の産業界との協力は重要だとの発言がありました。これからも日本での再稼働を支援していくとともに、再稼働が日本と世界の原子力産業界にとって重要であり、温暖化防止に対する原子力発電の貢献について具体的なデータが示せることが重要だとの認識を示しました。
以 上
■関連のWEB原子力産業新聞記事
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