第6回日英原子力産業フォーラム概要報告

2022年11月14日
(一社)日本原子力産業協会 国際部

 2022年10月31日(月)、英国国際通商省及び駐日英国大使館が主催し、英国市場協議会、英国原子力産業協会(NIA)、及び当協会の後援により第6回日英原子力産業フォーラムが開催された。今回は、駐日英国大使館大使公邸において3年ぶりの対面開催となり、英国と日本の関係機関及び企業の関係者を合わせて約100名、夕刻のレセプションには約160名が参加した。

 ロングボトム駐日英国大使は、開会挨拶で、原子力は日本と英国におけるエネルギー戦略にとって長年重要な役割を果たしている、エネルギー価格と安全保障が重要な課題となっていると同時に気候変動問題においてネットゼロ実現という共通課題もある。これまで以上に原子力が大切になっており、産業界によるイノベーションも大切で、高温ガス炉の分野では、我々の能力と野心が合致している。原子力がネットゼロの取組みへの役割を果たすためにも、日・英による協力が不可欠であり、それが進んでいることを嬉しく思う。この機会に関係者間の旧交を温めていただき、また、新たな関係を構築していただければ幸いだ、と述べた。

 NIAのグレイトレックス理事長は、ビデオスピーチにより、このような機会を大変嬉しく思うと同時に両国が直面するエネルギーに関する課題、発電時の炭素削減などをどのように解決していくかなど、信頼関係がさらに強まることが大切で、日英連携による大きな貢献が可能であるとのメッセージを送った。また、原産協会の新井理事長は、福島第一原子力発電所においては、英国によるハード・ソフト両面での支援を受けて難題に取り組んでいる。高温ガス炉においても、2030年代の実証運転開始計画など、今後の日本の産業基盤、人材、技術の維持・強化のためにも日・英の連携を期待している、と挨拶を行った。

 今回も、前回に引き続き廃止措置をテーマに、福島第一原子力発電所の現状報告、及び日本国内の原子力関連施設・研究炉の廃止状況などの説明、NDA(英国廃止措置局)やセラフィールド社による廃炉に関する最新情報、さらに、英国における廃棄物回収プロジェクトや廃棄物特性評価のプロジェクトのケーススタディなどについて発表が行われた。

 その他、英国と日本のコラボレーション事業に焦点を当て、福島第一原子力発電所におけるリモート技術の共同プロジェクトや、廃止措置分野でのJAEAとのコラボレーション事業、また、期待されている高温ガス炉(HTGR)の共同研究などについての紹介があった。

 フォーラム会場では、英国企業によるパネル展示などが行われ、各社の取組みがPRされた他、ネットワーキングランチやレセプションでの相互交流の機会を利用し、日英関係者が活発な情報・意見交換を行った。

 原子力先進国であり、エネルギー安全保障、カーボンニュートラル、および廃止措置の共通課題に直面している日英両国が互いに学び、協力することの意義は大きく、今回の第6回日英原子力産業フォーラムも双方にとって大変有意義なものとなった。

【開催概要】

開催日時:2022年10月31日(月) 10:00-20:00
会場:駐日英国大使館大使公邸(東京都千代田区一番町1)

【プログラム】

10:00 – 10:15: 挨拶

10:00 – 10:05: 歓迎挨拶 (ジュリア・ロングボトム 駐日大使)
10:05 – 10:10: 開会挨拶 (新井 史朗 JAIF理事長)
10:10 – 10:15: 開会挨拶 (グレイトレックス NIA 理事長) ※ビデオスピーチ

10:15 – 11:15: 日本における廃止措置

・福島第一原子力発電所の廃止措置に関する最新情報(NDF)
・JAEA施設の廃止措置に関する最新情報 (JAEA)
・原子力発電所の廃止措置に関する最新情報 (JAPC)

11:30 – 12:30: 英国における廃止措置

・NDA施設に関する最新情報 (NDA:英国廃止措置局)
・セラフィールドからの最新情報(Sellafield Limited)
・英国の廃棄物回収プロジェクトに関するケーススタディ(Jacobs)
・廃棄物特性評価プロジェクトに関するケーススタディ(NNL:国立原子力研究所)

12:30 – 13:30: 昼食

13:30 – 14:30: 参加英国企業の展示会

14:45 – 16:00: 英国と日本のコラボレーション

・東京電力と英国企業とのコラボレーション(東京電力)
・福島第一原子力発電所の環境改善に向けたリモート技術の共同プロジェクト(Createc, IHI)
・廃止措置のためのTeam UKとJAEAコラボレーション(Cavendish Nuclear)
・福島第一発電所におけるPCVI(格納容器内部調査)と燃料デブリ回収(Veolia Nuclear Solutions UK)

16:15 – 17:30: 原子力政策と日英HTGRコラボレーション

・日本における原子力政策(METI)
・英国における原子力政策(BEIS: Department for Business, Energy & Industrial Strategyビジネス・エネルギー・産業戦略省 )
・UK HTGR の実証プログラム(BEIS)
・日英のHTGRコラボレーション(JAEA)

18:00 – 20:00: ドリンクレセプション 

 

以 上

お問い合わせ先:国際部 TEL:03-6256-9313(直通)