第9回東アジア原子力フォーラム開催報告
2022年10月28日
(一社)日本原子力産業協会 国際部
当協会は、台湾核能級産業発展協会(TNA)主催により第9回目となる「東アジア原子力フォーラム」を開催しました。新型コロナの影響により昨年に引き続きオンライン開催となりましたが、「東アジアにおける原子力産業界の現状と今後の展開」や「高・中低レベル放射性廃棄物の処分と管理」、「原子力発電所廃止措置の進捗状況と経験の共有」をテーマに、情報交換を行いました。本フォーラムには日本原子力産業協会(JAIF)、韓国原子力産業会議(KAIF)、中国核能行業協会(CNEA)、台湾核能級産業発展協会(TNA)からの発表者・関係者や産業界からの傍聴者を含め、約200名が参加しました。
開会セッションの冒頭挨拶では、李宗銘TNA理事長より、新型コロナウィルスの感染が続いていることやロシアのウクライナ侵攻に伴うエネルギー安全保障問題について言及しつつ、欧州議会におけるEUタクソノミーに原子力と天然ガスが含まれたことで、今後の原子力への資金投入の機会により、貴重な進展となる。東アジア地域では原子力政策が異なっているが、原子力エネルギーの安定性と安全性に貢献するためにもあらゆる分野で継続的に協力を続けなければならないと強調されました。
続く来賓挨拶では、簡福添台湾電力副社長より、原子力産業の発展は 3 つの国際情勢の影響を大きく受けており、2011年福島第一事故後の安全性向上に対する意識の高まりや運転の見直しが行われたこと、昨年のCOP26において炭素排出削減目標の達成が強調されたことにより原子力エネルギー利用の再検討が促されたこと、ロシアのウクライナ侵攻に伴う世界的なエネルギー価格の高騰などを挙げ、原子力が果たす役割が見直されつつあるとの挨拶がありました。
今回のフォーラムでは、各国・地域が原子力産業界の最新動向を報告するとともに、各セッションでは、活発な情報・意見交換が行われました。
日本からは、東アジア地域でも関心の高い福島第一の廃炉進捗について東京電力HD(株)飯塚氏より廃炉の現状やALPS処理水の取り扱いに関する詳細な説明が行われ、東アジア関係者への理解促進が図られました。また、原子力発電環境整備機構(NUMO)窪田氏からは「日本の地層処分の概要と現状」、日本原子力発電(株)山内氏からは「日本における原子力発電所の廃止措置の現状と課題」と題し、それぞれ発表が行われました。
新井理事長は、開会セッションにおいて、日本の原子力をめぐる動向について発表するとともに、閉会時において、サプライチェーンの強化をはじめとし、私たちがこれまで培ってきた大切な原子力発電技術を維持しつつ、今後も、最大限、社会に貢献し続けていくことが我々の責務である点などに言及し、挨拶を行いました。
来年の第10回東アジア原子力フォーラムは中国での開催を予定しています。
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