中国原産(CNEA)訪問団との意見交換会および訪日協力(2024.7.16~19)
当協会は中国との協力活動の一環として、中国核能行業協会(CNEA)の代表団と意見交換会を5年ぶりに対面で実施しました。また、同代表団の滞在中、日本原子力発電株式会社(JAPC)東海第二発電所・敦賀発電所への訪問実施に協力しました。
近年、アジア近隣地域における台風、暴風雨などの異常気象は激甚化かつ頻発化しており、原子力発電所における対策や安全性の強化に関する中国側の関心が高まる中、今般、日本が培ってきた自然災害への対策を学ぶため、中国の複数の原子力発電所の実務者や専門家によって構成される22名の訪問団が日本に派遣されることとなり、当協会としては、日中両国の専門家間での知見の共有を図ることを目的に本訪問団の受け入れを行いました。
7/18(木)には当協会にて、CNEA訪問団一行および当協会幹部による意見交換会が行われました。はじめにそれぞれの代表から挨拶の後、日中両国の原子力産業の状況についてプレゼンテーションが行われました。
中国からは、訪問団の団長である鄭偉平(ゾン・ウェイピン)CNEA事務局次長が、CNEAの活動と中国の原子力発電の現状について発表。現在、中国において原子力が総発電量に占める割合は4.86%であるところ、2035年にはその割合が13.5%に達すると見込まれており、今後ますますの発展が見込まれる原子力技術や原子力産業のため、日本をはじめ各国との協調を高めていきたいと述べました。
その後の意見交換では、両国の今後のエネルギー政策や原子力技術の開発状況や将来展望について活発な議論が行われました。
中国側からは、高温ガス炉といった技術開発の展望についての質問や、2050年のカーボンニュートラル達成に向けての日本の政策に関する質問が挙がりました。また、温室効果ガス排出において現在多くの割合を占める石炭火力発電設備を、原子力発電にリプレースする研究が中国では始まっており、日本における同様な計画についての関心が示されました。
7月16日(火)には、新規制基準に対応した安全性向上対策工事の進む、JAPC東海第二発電所を訪問しました。はじめに、東海発電所と東海第二発電所の概要及び工事の進行状況についての説明があり、その後、東海原子力館の展示及び、原子力館屋上より発電所の全景を見学。発電所を囲むように建設されている高さ20mの津波防潮堤には多くの参加者が興味を示し、その強度や設計について、矢継ぎ早に質問が飛んでいました。また、その後の質疑応答においては、想定される自然災害に対する主な対策や訓練の内容及び頻度、過去の自然災害による被害についてなどの代表団からの様々な質問に対し、東海・東海第二発電所においての対策の内容及び実績を説明いただきました。
7月19日(金)には、JAPC敦賀発電所を訪問し、構内の見学、意見交換を行いました。はじめに、敦賀発電所ならびに敦賀半島の原子力産業の現状について説明があり、その後バスにて構内を見学後、質疑応答の時間が設けられました。視察団からは特に地震への対策に関して多くの質問が挙がり、日常業務や現場でのマニュアルレベルの細かい内容から、緊急事の際の近隣施設との連携といったポリシーレベルのものまで、幅広い関心が示されました。質問に対して、本年1月に発生した能登半島地震の際の対応や、福島第一発電所の教訓がどのような対策・設備に活かされているかといったポイントまで、事細かに解説いただきました。
今回の代表団には20~30代の若手クラスの参加者も多く、団長を務めたCNEA鄭事務局次長からは「今回の若手参加者達が自然災害対策の知見を深め、得られた経験を中国の原子力の現場に活かしてくれることを願う。」との挨拶がありました。参加者達も日本の原子力産業の状況や、各発電所の自然災害への対策に対して大きな関心を寄せ、意見交換を通して新たな知識を得ることで、今後の安全対策を考える上で大変有意義な訪問となったようです。
当協会としましては、このような交流活動及び施設訪問などを通して、我が国の原子力に関する現状を正しく理解していただくとともに近隣アジア地域の共通課題対応に資する活動に努めてまいります。
お問い合わせ先:国際部 TEL:03-6256-9313(直通)