ロシアのバックエンドサイクル関連施設視察とロシア国際フォーラム「ATOMEXPO-2014」参加視察団を派遣(2014.6.4~13)

 当協会は6月4日~13日、服部理事長を団長として、ロシア・シベリア中部クラスノヤルスク地方にあるバックエンド関連施設視察と今年で6回目となる国際フォーラムATOMEXPO-2014に視察団を派遣しました。

 期間の前半は、国の政策上、現在でも訪問が困難な秘密都市・ゼレズノゴルスク市の鉱業化学コンビナート(MCC)を訪問しました。ロシア国営原子力企業ロスアトムの所管するMCCには、建設中の施設も含め、Pu生産炉、再処理実証プラント、使用済燃料貯蔵施設などがありますが、視察はバックエンドサイクル関連施設のみでした。

 まず、MCC総裁ガブリロフ氏等によりMCCの使用済燃料貯蔵施設および現在建築中の再処理実証プラント(PDC: Pilot Demonstration Center)についての説明が行われました。その後、バスで移動しVVER-1000湿式貯蔵施設(使用済燃料プール)およびRBMK-1000燃料用空冷乾式貯蔵施設を視察し、再処理実証プラントの外観を見学しました。
 

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湿式貯蔵施設(集合写真)
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乾式貯蔵施設(外観)

 
 VVER-1000型の原子炉から発生する使用済燃料は、MCCの再処理工場RT-2で再処理する計画でしたが、資金不足により建設が中断、併設の使用済燃料貯蔵プールが1985年に完成し、ここで集中的に中間貯蔵されています。この施設では、ロシア以外にもウクライナやブルガリアの使用済燃料を引き受けて貯蔵しています。

 MCCの空冷乾式貯蔵施設は、RBMK-1000型の原子炉から発生する使用済燃料が中間貯蔵されています。フランスSGN社の専門家レビューを受けたこの施設は、日本でいうと、ガラス固化体貯蔵施設と同様の構造で、容器に燃料集合体を封入してこれをチューブ内に多層貯蔵し、自然冷却するものです。最後に、2015年運開予定のVVER-1000用使用済燃料再処理実証プラントを見学しました。MCCに滞在中には、シベリア連邦大学とクラスノヤルスク知事への訪問もすることができました。
 

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旧ソ連秘密都市・ゼレズノゴルスク市の
オペラハウス
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シベリア連邦大学(会議風景)

 
 後半の6月9日~11日、視察団は、モスクワ市で開催されたロスアトム主催のATOMEXPO-2014に参加しました。今年のフォーラムは、テーマが「原子力産業=エネルギー安定性のファクター」であり、245名のメディア関係者が取材し、42カ国600社(外国から283社)から約3500名もの参加がありました。

 服部理事長は、プレナリ―セッションで、「日本の原子力の最新状況およびエネルギー基本計画」について講演を行いました。その他、経済協力開発機構・原子力機関(OECD/NEA)のL・エチャバリ前事務局長をモデレータに、国際原子力機関(IAEA)のA・ビチコフ事務局次長、仏アレバ社のL・ウルセル社長兼CEO、世界原子力協会(WNA)のA・リーシング事務局長など世界の原子力界リーダーも招待されて講演が行われました。
 
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 フォーラム期間中、視察団はロスアトムのキリエンコ総裁と面談を行いました。服部理事長より、日本の原子力の最新状況とエネルギー基本計画について説明し、再稼働に向けて努力するとともに、人材育成と国際協力についてロシアや他の国とともに推進する必要があると述べました。キリエンコ総裁からは、両国間の協力関係を一層展開したいと提案され、福島第一原子力発電所に関する復興への取り組みについても、協力する姿勢を示しました。

 また、当フォーラムのテクニカルツアーでは、世界最初の商業用原子力発電所であるオブニンスク原子力発電所も見学することができました。その他、国立クルチャトフ研究所を訪問し、ロシアの中小型炉の研究開発状況に関するプレゼンを受け、意見交換を行いました。これらの視察を踏まえて、現在、原子力産業界での最大一番の共通課題が人材育成や国際協力ネットワークの強化であることを知り、我が国の原子力産業分野の取組みに大変参考になりました。
 

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キリエンコ総裁と服部理事長
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国立クルチャトフ研究所(外観)

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