ATOMEXPO-2015およびシベリア化学コンビナート(SGChE)視察参加団を派遣(2015.6.1~5)

当協会は6月1日~5日、服部理事長を団長として、露ロスアトム主催の国際展示会・フォーラムであるATOMEXPO-2015およびシベリア化学コンビナート(SGChE)視察参加団を派遣しました。

報告書はこちら>>>「ロシア・ATOMEXPO-2015参加およびシベリア化学コンビナート(SGChE)視察に伴う訪問団報告書」

■ATOMEXPO-2015
 6月1~3日、モスクワで開催されたATOMEXPO-2015に参加し、服部理事長が、「原子力-社会経済発展の推進力」をテーマとしたプレナリーセッションにパネリストとして登壇しました。世界原子力協会(WNA)のリーシング事務局長が議長を務め、キリエンコ・ロスアトム総裁のほか、IAEA、OECD/NEA、WANO、アルゼンチン、フランス、ハンガリー、米国、英国、ナイジェリア、チェコ、ヨルダン、トルコ、ドイツ、インドネシアから錚々たる顔ぶれが登壇しました。
 キリエンコ総裁は冒頭の講演で、ライフサイクル全体を通じた包括的アプローチが必要と述べるとともに、原子力産業の継続した発展のためには、国際的な「相互依存」が重要と強調しました。
 パネルディスカッションでは、議長から各国にとって原子力が環境的にクリーンで手頃な価格であるという以外に重要なメリットを1つだけ挙げるよう質問があり、各パネリストより、エネルギーセキュリティや、電力価格の安定性、地域の雇用、国全体の発展、安価で大規模、長期の持続可能性、エネルギー自給、信頼性等が挙げられました。

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会場入口
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プレナリーセッション会場
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キリエンコ総裁
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服部理事長

 ATOMEXPOの期間中、原田日本大使とともにロスアトム・キリエンコ総裁との会合を行い、キリエンコ総裁からは日本の原子力発電所の再稼働への強い関心と、今後の日露協力の進展への期待が述べられました。
 ATOMEXPOのサイドイベントとして、2015年春の叙勲で旭日中授章が授与されることになったロスアトム・レベジェフ博士の叙勲式が行われました。原田大使より勲章が授与され、キリエンコ総裁および服部理事長が祝辞を述べました。
 また、服部理事長はロスアトムより、原子力分野における協力に対し勲章を授与されました。

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レベジェフ博士叙勲式

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キリエンコ総裁から服部理事長への勲章授与

■PRORYVプロジェクトに関する会合
 発電設備設計研究所(NIKIET)を訪問し、以前原子力大臣を務め、現在PRORYVプロジェクトを率いているアダモフ博士およびPRORYVプロジェクトの研究者達と会合を行いました。
 PRORYVプロジェクトは、21世紀におけるロシアの大規模原子力発電所の開発(1200MWeの高速炉2基)を目指し、2020年までに最良の技術オプションを選択することを目的としています。具体的には、鉛冷却高速炉BREST-300の研究開発・設計・建設、ナトリウム冷却高速炉BN-1200の研究開発・設計、ウラン・プルトニウム混合窒化物燃料の生産を行っています。

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アダモフ博士
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NIKIETでの会合

■シベリア化学コンビナート(SGChE)視察
 シベリア西部にあるトムスク市から北西に約15km、セベルスク市にあるシベリア化学コンビナート(SGChE)を視察しました。SGChEではソビエト連邦時代に核兵器が生産されていたため、当時セベルスク市は秘密都市とされ、現在でも許可がないと出入りが出来ない閉鎖都市です。
 SGChEでは、トチリン所長等からSGChEの概要について説明を受けたほか、放射化学工場、転換工場、ウラン濃縮工場を視察しました。
 SGChEは1949年に設立され、当初は核兵器用のプルトニウム(Pu)を生産していました。Pu生産炉は2008年に閉鎖され、当時のSiberian Chemical Combine(SCC)からSiberian Group of Chemical Enterprises (SGChE)として会社組織化されました。現在は露の燃料会社TVELの一部として商業用に注力しており、天然ウランおよび回収ウランの精錬、転換、濃縮を行っています。国内だけでなく、海外19カ国に燃料を提供しています。
 放射化学工場は、1961年に稼働を開始し、天然ウランの抽出精製および照射ウランの再処理を行っています。
 転換工場は、1954年に六フッ化ウラン製造施設が稼働を開始し、1971年にウラン酸化物製造施設が稼働を開始、2013年には無水水素フッ化を開始しました。U235が1%以下の六フッ化ウランを製造しています。
 濃縮工場は、1951年に建設を開始し、1951年にガス拡散法により濃縮ウランを初製造しました。1962年に商業用濃縮ウランの製造を開始し、1973年に遠心分離法によるウラン濃縮を開始しました。電力消費やノイズ等の点でガス拡散法を遠心分離法に切り替え、現在では、ウラン235が5%以下の低濃縮ウランを遠心分離法により製造しています。海外向けのウラン濃縮も行っています。

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SGChC幹部との会合
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トチリン所長

   

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SGChE博物館

■クルチャトフ研究所訪問
 クルチャトフ研究所を訪問し、ベリホフ総裁と会談し、服部理事長から日本の原子力を取り巻く現状について説明しました。
 また、欧州最古の原子炉F-1(黒鉛炉)を見学しました。1943年、クルチャトフ研究所が設立され、1946年12月25日、F-1が初めて核分裂の連鎖反応を起こしました。核兵器用Puを製造するために作られた炉で、2012年まで材料試験や炉物理の研究のため運転しており、現在も運転可能です。

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ベリホフ総裁との会談
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クルチャトフ博士の家(記念館)

お問い合わせ先:国際部 TEL:03-6256-9313(直通)