『日中原子力産業セミナー2018の開催報告書』をとりまとめました。(2018.6.4)
日本原子力産業協会 国際部
原産協会は6月4日、中国核能行業協会(CNEA)との間で初共催となる原子力産業セミナーを都内で開催致しました。中国側からは、张廷克副理事長兼事務局長をはじめ、国家核電技術会社、中国広核電力(株)、中核核電運転管理(株)、清華大学など関連企業・機関から16名が参加、日本側からは、当協会高橋明男理事長をはじめ、経済産業省、東京電力ホールディングス(株)、関西電力(株)、日立造船(株)、原子力発電環境整備機構(NUMO)など、関連企業・機関から約45名が参加しました。
基調講演では、武田伸二郎経済産業省原子力政策課原子力国際協力推進室長が、日本の原子力政策について説明。趙成昆CNEA専門委員会常務副委員長は、中国の原子力産業の現状や今後の見通しについて紹介しました。セッション1では、福島第一原子力発電所事故後の対応と安全性向上対策について議論が行われ、セッション2では、原子力技術の研究開発について情報を共有しました。
閉会挨拶でCNEA張副理事長兼事務局長は今回のセミナーを通じ、福島の教訓に学び原子力発電所の安全を向上させていくことは長期にわたる原子力発電の持続的プロセスであると再確認したと話し、原産協会高橋理事長は、広範な分野にわたってスピード感を持って事業を進めている中国の原子力界に刺激を受けたとし、今回のセミナーが相互の交流を広げるきっかけとなることを願うとセミナーを締めくくりました。
今回来日した中国訪問団はセミナー翌日から3日間、原子力関連機関・施設を訪問しました。6月5日(火)には世界原子力発電事業者協会(WANO)東京センターを訪問し、センターの概要やピアレビュー、改善支援の説明を受けたあと、相互に意見交換を行いました。
翌6日午前はJAEA楢葉遠隔技術開発センターを訪問し、施設概要説明を受けた後、原子力発電所原子炉建屋内のVR体験を行い、続いて試験棟内部設備の説明を受けました。午後には東京電力福島第一原子力発電所を訪問し、廃炉状況の説明を受けながら実際にバスで構内を視察しました。今回は特別に、4月から運行が始まった自動運転EV視察バスの試乗や免震重要棟の内部見学も行いました。構内視察後は磯貝所長が対応され、同発電所事故の際、中国から多くの支援を頂いたことに対して感謝を述べられました。その後も活発な意見交換が続き、中国訪問団一行も皆大変満足した様子でした。
7日には東北電力女川原子力発電所を訪問し、再稼働に向けた安全対策の現状説明を受け、防潮堤やタービン建屋、原子炉建屋等を見学しました。ここでは東北電力加藤常務が対応され、中国訪問団の質問にも丁寧に答えていただきました。東日本大震災の際は、震源地に近かったにも関わらず、津波を想定した安全対策によって大きな津波被害を免れたとの説明が中国訪問団にとっても非常に印象深く残った様子でした。
8日には原産協会で総括会合を行い、福島第一発電所や女川発電所視察の感想を参加者が発表しました。原子力発電所の設計や運転に関わる者として、今回の視察訪問を通して、改めて安全対策の重要性を実感したと述べていました。
一週間というタイトなスケジュールでしたが、それぞれの訪問先で活発な意見交換ができ、大変有意義な視察となりました。
※本会合の発表資料と概要報告は後日、会員ホームページに掲載予定です。
お問い合わせ先:国際部 TEL:03-6256-9313(直通)