韓国原産廃止措置調査団への協力(2023.6.28~30) 

当協会は韓国との協力活動の一環として、6月28日(水)~30日(金)に来日した韓国原子力産業協会(KAIF)の廃止措置調査団に対し、JAEA原子力科学研究所、JAPC東海発電所、東京電力福島第一原子力発電所、及びJAEA楢葉遠隔技術開発センターへの訪問に協力しました。韓国の原子力産業界では、原子力発電所の廃止措置への取り組みのため、海外における廃止措置の現状、技術開発の動向などについての調査を進めています。

今回の訪問では、韓国原子力廃止措置研究院(KRID)クォン・ビョンフン研究所長を団長とする視察団に、韓国水力原子力 (KHNP)をはじめとし、韓国原子力研究院(KAERI)、韓国原子力環境公団(KORAD)、現代E&C、ナイルプラント、FNCテクノロジー等の原子力関連組織から計31名が参加し、JAPC東海発電所、福島第一原子力発電所の廃炉状況やそれに関わる遠隔技術開発、廃炉研究の最新動向に関する知見を深め、またALPS処理水放出への準備状況などについて、詳しい説明を受けました。

6月28日には、東京で事前レクチャーの機会を設け、原子力バックエンド推進センター(RANDEC)の澁谷進氏より日本の廃止措置の現状、東京電力HDの入野隆之氏より福島第一原子力発電所の廃炉・汚染水・処理水対策、福井大学の井口幸弘氏より日本における解体技術、㈱OKAMURAの堀内精彦氏には除染技術に関するご講演をいただきました。

参加者の質疑応答の様子
レクチャーでの集合写真

6月29日午前には、JAEA原子力科学研究所を訪問しました。まず、バックエンド技術部の亀尾裕次長より原子力科学研究所についての概要説明を受け、JRR-2と再処理試験施設を見学しました。最後に訪問した廃棄物埋設施設では、観測用の井戸からの水位測定や地下水サンプリングのデモを見学しました。午後には、JAPC東海発電所を訪問し、大鋸谷和夫廃止措置管理マネージャーより廃止措置の概要説明を受けた後、東海発電所内のタービンや発電機等機器が撤去された跡、撤去作業中の熱交換器を見学しながら撤去作業の工程を学び、最後に中央制御室の様子も視察しました。

JAPC東海発電所で概要説明を受ける様子
東海発電所前での集合写真

6月30日には、東京電力福島第一原子力発電所を訪問しました。廃炉資料館の見学後、構外の地域の様子を見ながら発電所サイトへバス移動し、木元崇宏廃炉コミュニケーションセンター副所長より概要説明を受け、構内を視察しました。構内では、ALPS処理水のサンプルを見ながら説明を受けた後、乾式キャスク仮保管設備や多核種除去設備(ALPS)、ALPS処理水を保管するタンク、1~4号機の現状などを視察しました。また、展望デッキより、ALPS処理水を海洋放出するエリアの説明も受けました。調査団はALPS処理水放出への関心が高く、放出のタイミングや周辺地域の反応に関する質問が多く上がりました。その後は楢葉遠隔技術開発センターを訪問し、研究管理棟で鈴木政浩モックアップ試験施設部長による施設概要説明を受けた後、福島第一原子炉建屋内のバーチャル・リアリティ(VR)体験を行い、廃止措置に向けた遠隔技術開発の説明を受けました。試験棟では、IRIDモックアップや、ロボット試験用水槽、モックアップ階段、モーションキャプチャ技術等を見学しました。

廃炉資料館での見学の様子
木元崇宏廃炉コミュニケーションセンター副所長からの説明
福島第一原子力発電所の高台から1号機を展望する様子
楢葉遠隔技術開発センターでの集合写真

今回の調査団には韓国産業界の若手参加者も多く見られました。説明時は、真剣に話を聞く様子がうかがえ、視察中も途切れることなく質問が上がり、積極的な姿勢が見受けられました。福島視察においては、「関係者による多くの努力で復旧に向かっているという印象を受けた」といった感想を数名からいただきました。また、ALPS処理水放出が社会的にも注目される中、東京電力の関係者のご協力により、処理水に関する視覚的かつ詳細な情報発信を行うことができました。

施設訪問後、団長のクォン・ビョンフン研究所長からは、「韓国では現在、2030年頃開始予定の古里1号機、及び月城(ウォルソン)1号機の解体に向け、認可手続きと技術開発を盛んに行っています。今日の出会いをきっかけとして、日韓の交流と協力が廃止措置の技術促進へつながることを願っています。」との挨拶がありました。

当協会としましては、このような施設見学などを通して、今後も福島第一原子力発電所の現状把握やALPS処理水に関するより正確な理解のための活動に努めてまいります。

以 上

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