韓国原産視察団の来訪協力(2018.7.9~12)

 当協会は韓国との協力活動の一環として、7月9日~12日に来日した韓国原子力産業会議(KAIF)の視察団によるJAEA楢葉遠隔技術開発センター、廃炉国際共同研究センター(CLADS)、東京電力福島第一原子力発電所、東北電力女川原子力発電所への訪問実施に協力しました。韓国の原子力産業界では、原子力発電所の安全性向上および初めて直面している廃止措置への取り組みの一環として、海外における安全対策、廃止措置の現状、技術開発の動向などについての調査を進めています。

 今回の訪問は、韓国原産パク・ドンウォン事務局長を団長とする視察団には、韓国水力原子力株式会社(KHNP)をはじめ、韓国電力公社国際原子力大学院(KINGS)、韓国原子力研究院(KAERI)等の原子力関連企業・組織から計18名が参加し、福島第一原子力発電所の廃炉状況やそれに関わる遠隔技術開発、廃炉研究の最新動向、女川原子力発電所再稼動に向けた安全対策への取り組みなどについて知見を深めました。

 7月9日(月)、仙台空港に到着した一行は福島へ移動し、JAEA楢葉遠隔技術開発センターを訪問しました。はじめに研究管理棟で石原センター長による施設概要説明を受けた後、福島第一原子炉建屋内のバーチャル・リアリティ(VR)体験を行いました。続いて、試験棟内部でサプレッションチェンバー(S/C)、原子炉格納容器(PCV)の補修・止水技術、ロボット試験用水槽、モックアップ階段、モーションキャプチャ等を見学し、福島第一の廃止措置に向けての遠隔技術の開発動向や最新状況を把握しました。

楢葉遠隔技術開発センターでのロボット技術見学

富岡町夜ノ森地区見学

 7月10日(火)の午前中には、JAEA廃炉国際共同研究センター(CLADS)を訪問しました。まず木村センター長代理からの施設概況説明を受け、研究室及び多目的試験棟を見学しました。続いて韓国側が「古里1号機廃炉準備の現状」と題して発表を行い、韓国国内の状況を説明しました。その後の意見交換を通し、廃炉に関わる技術開発、研究などの情報交換を行いました。午後からは、東京電力旧エネルギー館で福島復興本社花岡国際担当部長による挨拶と福島第一廃炉推進カンパニー上田マネージャーによる概要説明を受けた後、福島第一原子力発電所に移動し、視察バスで構内を移動しながら1号機~4号機の現状および震災・津波の被害状況を中心とした視察を行いました。


廃炉国際共同研究センター(CLADS)での見学様子

東京電力旧エネルギー館での概要説明

 7月11日(水)は、午前中に女川町内へ移動し、女川駅周辺を散策しました。2015年に移設された女川駅や周辺の商業エリア、町全体の復興状況には視察参加者も皆非常に感銘を受けている様子でした。一行はその後、東北電力女川原子力発電所を訪問、菅原所長代理による概要説明を受け、防潮堤,淡水貯水槽,大容量電源装置等の屋外設備の視察を行いました。女川原子力発電所構内の視察を終えた後、韓国側2名から「発電所構内での放射線被ばく緊急医療対策」、「韓国が学んだ福島事故の教訓」と題した発表が行われ、活発な意見交換が行われました。

女川駅前テナント型商店街 シーパルピア女川

女川発電所での記念写真

 最終日の7月12日(木)は、仙台市荒浜地区等の津波被害エリアを回り、震災遺構仙台市立荒浜小学校をはじめ、荒浜記憶の鐘、日和山、津波避難タワー等を巡りました。荒浜小学校では館内ガイドの方から震災発生当日の様子や津波被害の概況、現在の復興状況等の説明を受け、視察団員は、皆真剣な表情で話を聞いていました。

震災遺構仙台市立荒浜小学校見学

仙台市東部地域の津波避難タワー

 今回の訪問での視察や受け入れ先施設との意見交換等を通して、福島や宮城の復興状況、また福島第一原子力発電所の廃炉状況を知り、新鮮な印象を受けている様子でした。現在稼働中の原子炉に対するさらなる安全対策や、これから廃止措置作業が始まる韓国にとって、大変有意義な機会となりました。当協会としましては、今後も日本の原子力産業のプレゼンス向上に資すると同時に、海外とくに東アジア近隣諸国・地域の専門家による施設見学などを実施し、福島の正しい姿が認識され、原子力の安全向上への取組みの知見共有と風評被害の払拭に取り組むなどの理解促進活動を継続的に行って参ります。

お問い合わせ先:国際部 TEL:03-6256-9313(直通)