韓国廃止措置調査団受け入れ協力(2014.9.24~26)
日韓両国の原子力産業の一層の発展・交流を目的として、韓国原子力産業会議(KAIF)と韓国漢陽大学キム・ヨンス教授が率いる原子炉廃止措置調査団(計28名)が9月24日~26日に来日し、当協会で廃止措置専門家との会合を行い、その後、東京電力(株)福島第二原子力発電所および東北大学の極限ロボティクス研究センターを訪問しました。
韓国の原子力産業界では、近い将来に直面する原子力発電所の廃止措置への取り組みの一環として、海外における廃止措置の現状や技術開発の動向などについての調査を進めており、この度KAIFより、日本の状況に関する調査団の受入れ協力要請が当協会に行われました。この調査団は、韓国漢陽大学キム・ヨンス(Kim Yongsoo)教授主導の「原子炉除染・デコミッショニング安全研究センター」と韓国産業界との協働教育プログラムとして実施されました。
来日初日の9月24日(水)は、当協会で、日本原子力研究開発機構(JAEA)と原子力バックエンド推進センター(RANDEC)の協力を得て、専門家会合を開催しました。当協会の佐藤常務理事からの歓迎挨拶の後、JAEAバックエンド研究開発部門の立花技術主幹と原子炉廃止措置研究開発センターの井口技術主席より、「日本における廃止措置およびふげん廃止措置プロジェクトの状況」の紹介がありました。またRANDEC廃棄物処理事業推進部立地推進部の鈴木課長より「RANDECの活動紹介」がありました。これを受け、活発な質疑応答が行われました。RANDECからは、 菊池理事長と澁谷専務理事も出席され、日韓両国での廃棄物や廃止措置分野での協力の促進が必要との表明がありました。
翌9月25日(木)には、東京電力福島第二原子力発電所を訪問、設楽所長のご挨拶の後、工藤広報部長より、東日本大震災と福島第二原子力発電所事故の緊急時対応についての詳細な説明を受けました。現場視察では、3グループに分かれて、津波の被害を受けた1号機の海水熱交換器建屋や4号機の原子炉建屋と格納容器内部を見学しました。特にこの格納容器の真下の見学では、炉心の廃止措置の重要性を実感できる位置から各種の炉内構造物についての詳しい説明を受けました。
現場の見学後、会議室において、今回は特別に福島第一廃炉推進カンパニーの中山課長が出席され、福島第一原子力発電所における廃炉作業の進展現状についての説明が行われました。キム団長より韓国側調査団員にとって大変有意義なものとなったとの東電の対応に対する深い感謝が表明されました。
最終日の9月26日(金)には、東北大学の極限ロボティクス国際研究センターを訪問しました。センター長の吉田和哉教授より、VTRを効果的に交え、ロボティクスの基盤技術研究に関する日本での取り組み、そして宇宙探査や災害対応などの極限的な応用展開研究を推進している同研究センターの活動についてご紹介を頂きました。同センターが開発したロボットは、経産省、東京電力、JAEAからの依頼で、福島第一原子力発電所の事故直後の状況把握ならびにその後の廃止措置への取り組みでも実際に活躍しているとのことです。また、ロボットの10分近くにわたる実機操縦も披露されました。
今回の訪問はタイトなスケジュールでしたが、専門家との会合や視察、また、有意義な意見交換もあり、これから廃止措置計画を開始する韓国にとって大変有益な機会であったとの感謝の意が韓国側から表されました。
日韓両国の原子力産業界の交流の更なる進展が期待されます。
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