韓国原産視察団の来訪協力(2024.6.26~27)

当協会は韓国との協力活動の一環として、6月26日(火)、27日(木)に、韓国原子力産業協会(KAIF)の視察団による東京電力福島第一原子力発電所、JAEA楢葉遠隔技術開発センター、JAPC東海原子力発電所への訪問実施に協力しました。

今回の訪問では、韓国原子力産業協会(KAIF)プ・ソンジュン事務局長を団長とする視察団に、韓国水力・原子力会社(KHNP)をはじめ、韓国電力公社(KEPCO)、韓国原子力研究院(KAERI)、ナイルプラント、FNCテクノロジー等の原子力関連企業・組織から計37名が参加し、福島第一原子力発電所の廃炉状況やそれに関わる遠隔技術開発、ALPS処理水放出の現状、東海原子力発電所の廃炉に向けた取り組みなどについて知見を深めました。

6月26日(火)は、福島第一原子力発電所へ訪問し、構内視察後、廃炉資料館見学を行いました。構内では、福島第一廃炉推進カンパニーの松本純一フェロー、木元崇宏廃炉コミュニケーションセンター副所長のご案内のもと、視察バスから乾式キャスクの仮保管設備や多核種除去設備(ALPS)、ALPS処理水を保管する大きなタンクが立ち並ぶようすなどを見学しました。1~4号機を見渡す展望デッキに立ち、また、5、6号機やALPS処理水を放出する現場を高台から一望し、海洋放出の手順や工事に関する説明を受けました。

1~4号機を見渡す展望デッキ
(出典:東京電力ホールディングス株式会社)
ALPS処理水放出の現場を一望する高台
(出典:東京電力ホールディングス株式会社)
概要説明の様子
(出典:東京電力ホールディングス株式会社)
廃炉資料館での見学

続いて、JAEA楢葉遠隔技術開発センターを訪問しました。はじめに研究管理棟にて鈴木政浩技術主席による施設概要説明を受けた後、福島第一原子力発電所の2号機建屋内のバーチャル・リアリティ(VR)体験を行い、遠隔技術の開発動向や操作訓練の状況を把握しました。続いて試験棟において、ロボット試験用水槽、モックアップ階段、モーションキャプチャ技術等を見学しました。

楢葉遠隔技術開発センターでの集合写真
バーチャル・リアリティ(VR)体験
概要説明の様子

6月27日(木)には、JAPC東海発電所を訪問しました。まず、大鋸谷和夫廃止措置管理マネージャー、木村秀明廃止措置室長より廃止措置についての概要説明があり、その後構内を視察しました。安全性向上対策工事をしている厚さ3.5メートル高さ20メートルの津波防潮堤を見学した際は、その大きさに視察団員より驚きの声が上がっていました。その後東海原子力発電所の建屋内に入り、撤去作業中の熱交換器の説明を受け、最後に中央制御室の様子を視察しました。質疑応答では、今後廃炉に取り組んでいる韓国企業・組織とバートナーになることはできるかという質問に対し、様々な組織と協定を結んでいる前例もあり、しかるべき手順を踏むことができると回答されました。

概要説明の様子
東海原子力発電所玄関口での集合写真

今回の視察では、役員クラスから大学の学生まで、団員の役職が多岐にわたりました。説明に熱心に耳を傾け、そして矢継ぎ早に質問が挙がりました。特に若手団員からの積極的な質問が目立ちました。視察後は、団長のプ・ソンジュンKAIF事務局長より「丁寧で詳細なご案内に感謝いたします。廃炉を成功裏に終え、原子力の発展を成し遂げることを願っています。」との挨拶がありました。実際の廃炉作業のようすや技術開発を目の当たりにし、廃止措置作業が始まった韓国にとって、大変有意義な機会となったようです。

特に福島第一視察においては、東京電力HDご関係者のご協力のもと、韓国側一行に構内を埋めるタンクの数やALPS処理水が放出される現場を実際に確認してもらうことで、より正確な情報提供を行うことができました。

当協会としましては、このような施設見学などを通して、我が国の廃炉に関する現状を正しく理解していただくための活動に努めてまいります。

お問い合わせ先:国際部 TEL:03-6256-9313(直通)