COP25に参加、Nuclear for Climate (N4C)関係活動支援
原産協会は、12月2日~15日の期間、スペイン・マドリードで開催された国連気候変動枠組条約第25回締約国会議(COP25)の一週目に若手職員を派遣し、気候変動における原子力の重要性の理解活動を展開している「Nuclear for Climate」(N4C)の枠組みの下、欧州原子力学会(ENS)、スペイン原子力産業協会(Foro Nuclear)、スペイン原子力学会(SNE)若手連絡会、世界原子力協会(WNA)、カナダ原子力協会(CNA)等8カ国の若手とともに、共同ブースの出展やサイドイベントの実施などの理解活動を行いました。
当協会は、2015年にパリで開催されたCOP21に向け、世界中の原子力協会や原子力学会により立ち上げられた「Nuclear for Climate (N4C) 」イニシアティブに一年目から毎年参加しており、今年もCOP会場内外で多くの世界各国の政府関係者やNGO参加者に、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書等を引用しながら、「原子力発電が再生可能エネルギーと同様に低炭素電源であり、低炭素社会の実現に向けて重要な役割を果たしているため、原子力は、増大する電力需要を満たしながら温室効果ガスを削減するための解決策の一つであること」を積極的にアピールしました。
N4Cブースは、開催期間中に100以上の展示機関の中、唯一の原子力推進ブースであり、今年は昨年より多くの参加者が訪問し、複数のメディアからも取材を受ける等注目を集めました。来訪者からは、「原子力発電は本当に安全で役に立っているのか?」、「放射性廃棄物の問題は解決しているのか?」、「原子力発電を導入するのに時間も費用もかかりすぎるのではないか?」等の質問があり、地球が気候変動による危機的状況に直面しているなか、原子力発電への関心が高まっていることがよく分かりました。その一方で、全く原子力についての知識を持っていない来訪者(特にアフリカ系)も少なくありませんでした。
また、大会3日目の12月4日には、今年のN4C活動のハイライトとなるサイドイベントが開かれました。「地球温暖化防止のため、全ての低炭素電源が必要」と題したパネルディスカッションで、スペイン原子力産業協会のAraluce理事長をはじめとする5名のN4C関係者がそれぞれの立場から原子力の有用性を訴えました。イベントの後半は、満員の会場では多くの参加者から質問を受け、活発な議論が行われました。「原子力発電のデメリットをちゃんと考えているのか?」、「まだ解決されていない放射性廃棄物の問題はどうするのか?」等厳しい意見・質問があった一方で、「原子力に対して否定的な意見が多い世の中、ぜひ原子力の良さを一人でも多くの人に知ってもらいたい」や「原子力の役割は大きいので、世界のためにより安全な原子力発電を期待している」という前向きの意見もありました。
そのほか、COP25開催期間中に、N4C若手メンバーがブースおよび会場にてノベルティ配布、イベント参加・発言など様々な理解活動を行ったほか、6日にマドリード市内で行われた、スウェーデンの16歳環境活動家グレタ・トゥンベリ氏が発足させた「Fridays for Future」デモにも参加し、積極的に原子力の役割をアピールしました。なお、気候変動への対策として、再生可能エネルギーの推進とエネルギー効率化が主に議論されているCOPでは、原子力発電が果たしうる役割に対して、一般人向けの理解活動はまだ足りず、今後もN4C等と連携して活動を続けていく必要があると強く感じました。
*Nuclear for Climate(N4C)関連活動の詳細は、下記ページをご覧ください。
https://www.jaif.or.jp/internationalmenu/climate/
お問い合わせ先:国際部 TEL:03-6256-9313(直通)