- フランスおよび日本の原子力専門家からなるグループN−20は、第7回会合を2000年9月4〜5日、フランスのベルサイユで開催した。
この2日間の会合中、専門家たちは両国の原子力計画作成に関する意見と分析を交換した。これらは、21世紀における発電炉と研究炉、パブリック・アクセプタンスと環境、核燃料サイクル、高レベル放射性廃棄物管理、および最近の原子力事故・事象から得られた経験のフィードバックなどである。
- 現在、原子力はフランスで発電されている電力の約75%を占めており、また、日本では35%以上を占めている。原子力は両国において今後とも電力供給の主要な要素であり続けることが確認された。
専門家たちは、エネルギー市場の規制緩和の大きな流れの中で、化石エネルギー源 (ガス、石油、石炭) や再生可能エネルギーに対する原子力産業の競争力に関する意見を交換した。専門家たちは、原子力発電所が今日までベースロード需要を満たすうえで、最良の技術的、経済的解決策となっていることに合意した。
原子力産業界は大きな資産を持っているが、原子力は、競争力、安全性の改善、および環境影響の低減について、絶えず拡大しつつある要求に直面していることを専門家たちは強調した。
- 専門家たちは、21世紀に向けての発電炉、および研究炉の問題を討議した。彼らは、競争力を改善すること、安全性および放射性廃棄物に関連して、原子力の環境影響に対する大衆の認識を改善すること、および、さらなる国際協力を進めること、人間の知識水準を向上維持すること等が主要な課題であることに合意した。
専門家たちは、2基の高速中性子炉、もんじゅおよびフェニックスの現況を検討し、それぞれの研究・開発計画に関する情報を交換した。
- 専門家たちは、原子力に対する長期的なパブリック・アクセプタンスを得るため、透明性を改善することが重要であることを確認した。
彼らは、主要な温室効果ガスである炭酸ガスの削減に原子力が疑いなく貢献していることを強調した。彼らは、来る2000年11月にハーグで開催される気候変動枠組み条約締約国会議第6回会合 (COP6) において、CDM (クリーン開発メカニズム) から原子力を除外してはならないことを強調した。
彼らは、環境保護への国際的な約束を守るため、他のエネルギー源と比較した原子力の役割を適切に評価することの重要性を強調した。
- 燃料サイクル活動に関して、専門家たちは、再処理の利点を確認し、再処理プルトニウムのMOX燃料での利用が、資源の節約と地球環境の改善に貢献することを確認した。
- 高レベル放射性廃棄物管理に関して、専門家たちは、現在行われている種々研究 (長寿命元素の分離、核転換、深地の回収可能貯蔵、表層および半地下貯蔵) の現状をレビューした。
- 最後に、最近の原子力事故・事象から学んだ経験について意見交換がされた。
- すべての参加者は、日本とフランスがともに直面している問題に対処するため、研究・開発計画に関する情報を共有することの重要性を確認した。専門家たちは、特に地球温暖化対策、放射線の影響と防護の正しい評価、核燃料サイクルのバックエンド、および廃棄物管理の分野において、更なる協調と協力が必要であることを強調した。