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国際熱核融合実験炉 (ITER) 計画活動の現況と建設サイトについて

平成12年11月27日

ITER 計画活動は、1988年から日本、米国、EU、ロシアの四極国際協力で、トカマク方式による実験炉の設計活動が実施されてきている (現在は日、欧、ロの三極)。

この実験炉計画は、実験炉で「自己点火条件の達成」と「長時間燃焼の実現」ならびに「原型炉の開発に必要な炉工学技術の形成」を主要な目標としているもので、我が国の現段階の核融合研究開発基本計画 (第3段階基本計画) の目標と一致するものであり、このことから、我が国では「ITER」を日本の現行核融合研究開発基本計画の中核装置と位置付けて、このプロジェクトへ参加し、同計画活動を強力にリードしている。

ITER 計画活動は、1988年〜1990年にかけて概念設計活動 (CDA) が実施され、その結果は、続いて実施された1992年〜1998年にかけての工学設計活動 (EDA) へと引き継がれた。

1998年には米国が同計画活動から撤退し、また実験炉のコスト低減を目指してよりコンパクトな実験炉の設計を再考するため、EDA は3年間の延長が決まり、現在、日本、EU、ロシアの三極で

2001年7月までの予定で、日本が提案した炉型の工学設計活動が行われている。

一方、現在、工学設計活動 (EDA) 終了以降の実験炉建設フェーズへ向けて、実施協定案の作成作業が、三極非公式政府間協議として行われており、EDA 活動終了後のスケジュールによると、サイトについては誘致を立候補する極は、EDA 終了時である来年7月までに、候補地を一箇所に絞って名乗りを上げることになっており、手が挙がった複数のサイト候補地について、国際的な組織による各サイト依存調査を実施した上で決定することになっている。

ITER 建設のサイト誘致に関しては、各極は下記に示すような状況である。

1.日本

北海道苫小牧市 (苫小牧東部地域)、青森県六ヶ所村 (むつ小川原工業基地)、茨城県那珂町 (日本原子力研究所) の三地域が誘致の意向を示し、三県知事がそれぞれ科学技術庁長官他に誘致を陳情している。

誘致に関連する今後のスケジュール

原子力委員会「ITER 計画懇談会 (座長:吉川弘之氏)」が、日本が ITER の建設段階にコミットするべきか、またサイト誘致の名乗りを上げるべきかを審議中で、年内に報告書をまとめ、その結果に対するパブリックコメントを求めた上で、来年2月頃に原子力委員会決定を行う。

その結論が誘致すべきとなれば、上記三サイト候補地を国が一箇所に絞り込む検討を行い、来年7月までに結論を出すことになる。

2.海外の動向

  • カナダ

    民間非営利会社の「ITER カナダ」が、カナダへの建設を積極的に推進。
    オンタリオハイドロ電力公社のダーリントン発電所敷地 (地域名:クラリントン) への誘致を検討中。

  • フランス

    フランス原子力庁 (CEA) を中心にカダラッシュへの誘致を検討中

  • ロシア

    誘致の意志は無し。

以上

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