第8回日仏原子力専門家会合(N-20)共同声明
- フランスおよび日本の原子力専門家からなるグループN−20は、第8回会合を2001年11月1日〜2日、鹿児島市で開催した。
2日間の会合の中で、双方の専門家は両国の原子力開発の現状および将来展望について、次のテーマ毎に情報交換と率直な意見交換を行った:原子力開発の現状、原子力市場の需要と動向、地球温暖化問題と原子力、将来の先進技術および関連の研究開発計画・国際協力、プルトニウムリサイクルと将来展望、燃料サイクルバックエンド。
- 原子力発電は現在、フランスでは全電力供給の約75%、日本では約35% (九州では46%) を占めており、今後とも供給安定と環境保全のため、中核的役割を果たしていくことが確認された。今後とも一層の安全確保と技術の高度化、国民の理解と信頼の獲得が重要であり、また、将来炉への真剣な取り組みの必要性が強調された。
- 原子力発電の積極的貢献なしに地球温暖化問題とエネルギーの供給安定を解決することは不可能であり、このような国際的合意を確立するため双方の努力が必要であることを確認した。温暖化対策が実効をあげるためには米国や開発途上国も参加した全世界的な枠組みが構築されねばならないが、京都議定書はその第一歩として意義があり、合目的な細目合意に向けて努力すべきことが確認された。
- 電力市場自由化の中で、原子力発電は、安全性の向上と廃棄物対策へのさらなる努力に加え、競争力の向上のためにさらなる研究開発と規制の高度化が必要であることが確認された。
- 将来炉の開発について、安全性、経済性を前提に、燃料利用効率向上などを要件として両国で進められているが、フランスではとくにガス炉開発の有用性が強調され、その開発の促進状況が報告された。日本における各種、および大、中小型出力規模のアプローチおよび国際協力についての現状と評価が紹介され、意見交換された。
- 現在軽水炉が着実に主要な役割を担っており、一方高速炉の実用化時期が必ずしも確定しない現状のもと、フランスでは、新型MOX燃料開発などによって、プルサーマル・リサイクルによりプルトニウムの蓄積を将来にわたり増加させないことを目指している状況が紹介された。
- 再処理ならびに高レベル廃棄物処理処分など、燃料サイクルバックエンドについて、開発の現状と成果が双方から紹介され、人々の理解を得るためにも、今後一層の技術開発努力が必要であると認識された。
- 最近のテロ事件に関連して、原子力関係施設における対応の状況について双方から紹介があり、これについて、社会に対して充分な説明を行うことが大切であることが確認された。
- 双方の専門家は、とくに地球温暖化問題、新型炉開発、核燃料サイクルバックエンド、廃棄物管理および電力市場自由化などの両国に共通する諸問題に対応するため、両国の一層の協力強化が大切であり、今後も継続して情報・意見交換を行うことの重要性を確認した。
(2001年11月2日、鹿児島市)
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