関西電力、原子力安全性向上の取組状況
関西電力は6月3日、原子力発電の安全性向上に向けた自主的・継続的取組に関する2014年度下半期の進捗状況を発表した。同社では、2004年8月の美浜3号機事故や福島第一原子力発電所事故の教訓を踏まえ、2014年6月に、(1)原子力安全に係る理念の明文化と共有(2)リスクマネジメントの充実(3)原子力事業本部における安全性向上に向けた基盤整備(4)安全文化の発展――の取組に関するロードマップを策定し、半期ごとに進捗状況を公表している。
原子力安全に係る理念の明文化と共有では、2014年8月に「原子力発電の安全性向上への決意」を制定した上で、職場単位で実践する安全行動目標を定めるとともに、年度末には自己評価を行うなど、継続的に改善しながら取り組んでいくよう努めたとしている。
リスクマネジメントでは、国内外の知見の充実を図るべく、海外企業との情報交換協定締結や電力中央研究所原子力リスク研究センターとの意見交換を行ったほか、高浜3、4号機における重大事故に対処するための設備や事故時の対応手順をモデルに、確率論的リスク評価を推進するなどした。また、2014年度は事故が発生した場合を想定した住民避難支援を充実させるべく、支援要員を約5倍に拡大するなど、避難計画に関しても積極的に協力を進めており、今後も緊急事態への対応をより確実にするため、初動対応の整備や訓練実施に努めていくこととしている。
今回の進捗状況報告では、福島第一原子力発電所事故を踏まえ強化を図ってきたハード面、ソフト面の対策により、「実際に炉心が損傷する可能性は極めて低くなっている」としており、万が一、重大事故が発生した場合に備え、体制や手順および事故対応要員の教育や訓練を充実・強化し、対応能力の向上を図っているなどと述べている。