原子力機構、日立GE、スギノマシンが燃料デブリ取り出しに向けレーザー技術開発

2015年7月16日

 日本原子力研究開発機構など3者による廃炉作業に向けたレーザー技術開発に関する共同研究契約が7月15日に締結された。同機構が2016年度からの本格運用を目指して建設を進めている「楢葉遠隔技術開発センター」の活用も念頭に置き、BWR炉内工事で多くの経験を有する日立GEニュークリア・エナジーと、水ジェット切断技術で定評のあるスギノマシンが参画し、福島第一原子力発電所の燃料デブリ取り出しに向けた研究協力を進める。
 福島第一原子力発電所の廃炉作業では、狭あいな箇所に遠隔操作機器を導入し、燃料デブリなどを安定的に取り出すことが要求されており、レーザー工法を用いることで、極小のビームスポットに高密度のエネルギーを投入して熱的影響範囲を抑えるほか、機器の小型化も可能となる。
 原子力機構はこれまで、二次廃棄物が少なく遠隔操作や狭あい部での作業が可能なレーザー切断技術の開発を行っており、新型転換炉「ふげん」における水中環境下での厚板鋼板の切断特性調査などで成果を上げている。また、日立GEは現在、BWRメーカーとして福島第一原子力発電所の廃炉・除染に向けた技術開発に、スギノマシンは放射線環境下で動作可能な遠隔操作機器の開発に取り組んでいる。今回の共同研究契約では、これら3者が相互補完的に協力し、福島第一原子力発電所廃炉作業へのレーザー技術の適用拡大を見据えた新型工法、炉内環境切断工法、厚板鋼材切断工法の開発に関する基盤研究を行う。