原子力規制委員会が日本原燃の工藤社長と意見交換
原子力規制委員会は8月26日、日本原燃の工藤健二社長らと、公開の場で意見交換を行った。
同社は現在、ウラン濃縮工場、高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センター、低レベル放射性廃棄物埋設センターの3施設を操業し、再処理工場の試験運転とMOX燃料工場の建設に取り組んでおり、今回の意見交換で、工藤社長は、主に再処理工場に係る、自主的・継続的な安全性向上に向けた取組について述べた。
福島第一原子力発電所事故の経験を踏まえ安全性向上対策では、「『まずは起こりえないだろう』ということではなく、『起こる。そうしたときに地域の皆様に絶対にご迷惑をかけないように、どう対応するか』」という発想を大前提に、設備の強化、訓練の充実に努めており、特に、寒冷地の地域特性から、積雪・凍結に見舞われる厳冬期の夜間・休祭日における徒歩招集訓練も行っていることなどが説明された。また、意識改革では、「本音で話す対話活動」、他社の良好事例に学ぶ安全講演会の他、航空・鉄道業界の協力を得た安全体験研修が行われており、個人スキルの向上や安全意識の高揚に結び付いているとしている。
これに対し、田中俊一委員長は、再処理工場のしゅん工延期が度重なるところ、社員の士気低下は「大きな危険」と懸念し、「抜かりのない教育・訓練」がなされるよう求めた。プルトニウムを抽出するという再処理施設の特性から、田中知委員が核セキュリティの取組について問うと、工藤社長は、「通常の原子力事業者よりはるかに敏感でなければならない」と応え、経営トップとして、核セキュリティ文化の醸成に努めていく姿勢を示した。
また、地域対話について、工藤社長は、女性層への放射線勉強会を精力的に開催していることを強調したが、これに関連し、中村佳代子委員は、「『核』という言葉の説明には日本独特の問題がある」として、リスクコミュニケーションにおいて留意すべきと指摘した。
先般発生した落雷の影響が推定されている計器故障の関連で、更田豊志委員は、福島第一原子力発電所事故を引き起こした津波の経験と対比しながら、自然現象による共通要因事象への対策の必要性を示唆した。