原子力国民会議、「原子力の誤解を考える」をテーマに女子学生らと討論
原子力発電の早期再稼働に向け、全国各地で理解活動を行う原子力国民会議は9月29日、東京中央集会をメルパルクホール(東京・港区)で開催した。今回の集会では、正しい情報が伝わっていないことや、反対派の意図的な誤った情報流布により原子力に対する誤解が国民に広まっているとして、「原子力の誤解を考える」をテーマに学生を含む6名の女性によるパネルディスカッションなどが行われた。
パネルディスカッションに先立ち、元原子力委員で原子力国民会議共同代表を務める木元教子氏が挨拶に立ち、日本は被爆国であるが故に「原子力というのは怖いもの」と思われがちで、諸外国と比べても放射線に関するリテラシーが低いことなどをあげ、「事実に基づいた正確な情報を伝えていく必要」を強調した。続いて、ルイ・パストゥール医学研究センターの宇野賀津子氏、政治ジャーナリストの細川珠生氏、日本エネルギー経済研究所の村上朋子氏が登壇し、それぞれ放射線の健康影響、エネルギーの産地・消費地との関係、世界の原子力動向を巡る誤解・無知について述べた。
宇野氏は、福島の原子力災害の経験から、低線量放射線に対する分野間の感覚の違いで混乱が生じたと指摘し、「リスクを過剰に言うのも過小に言うのも無責任」などと強調した。さらに、発災当時を振り返り「南相馬では線量はそれほど高くなかったが餓死した人もいる」として、過酷事故・災害時における避難弱者も考慮した対策を考える必要を訴えた。
また、村上氏は、福島第一原子力発電所事故後、世界の原子力開発の流れは一気に後退してしまったという誤解があることをあげ、実際は、中国を始めとするアジア諸国を中心に原子力発電所の建設が活発化していることをデータで示した。さらに、「運転年数の経過した原子炉は一律に危険」という見方についても、1969年より安全に運転を続けるスイスのベツナウ原子力発電所1号機を例示し、一概に断定できないなどと述べ、世界で起きている現実を直視し、正しい科学的知見に基づく冷静な判断が求められることを、技術者の立場から説いた。
これに対し、学生からは、「リスクがゼロでなければ、自身が母親ならば避難を続ける」、「本によって異なる見解が書いてある」などと発言があったのに対し、自らをエネルギー問題について「ド素人」と称し、全国の発電所を取材して回る細川氏は、「女性に原子力反対が多いのは勉強不足に尽きる」、「学生時代には色々な本を読んで、色々な人の話を聞いて勉強して欲しい」と語りかけた。