規制委、運転期間満了迫る美浜3号機の審査を巡り関西電力と話し合いへ
原子力規制委員会は、9月30日の定例会合で、関西電力美浜3号機の新規制基準適合性審査の状況について、原子力規制庁より報告を受けた。同機は、2016年11月30日に原子炉等規制法で定められる運転開始から40年の期間を満了することから、再稼働のためには、それまでに新規制基準への適合性とともに、運転期間延長に係る審査も完了させる必要がある。
規制庁の報告によると、美浜3号機については、2015年3月に新規制基準適合性審査の申請(設置変更許可、保安規定変更認可)を受け、以後、地震・津波・火山関係で8回、プラント関係で2回の審査会合が行われた。地震・津波・火山関係では、敷地周辺の地質構造、活断層、地震動に係る論点を確認し、8月21日に基準地震動が提示され、火山影響評価については9月4日に概ね十分な評価がなされていることを確認したとしている。一方、プラント関係では、現時点まで、審査に必要な補足説明資料がほとんど提示されていないため、申請内容に係る確認を開始することができず、期間内に審査を完了できる見込みが立っていないという。また、工事計画認可については、関西電力より、2015年11月に申請、2016年2月、5月に補正申請予定との説明があったとしている。美浜3号機の40年以降の運転期間延長に係る審査の申請期間は法令上、2015年9月1日~12月1日となっているが、まだ申請はされていない。
規制庁としては、今後の工事計画認可の審査で、特に耐震評価については、大部にわたる申請書の確認が必要なことから、より効率的に審査を進めるよう努めねばならないとしている。
審査状況の報告を受けて、プラント関係の審査を担当する更田豊志委員は「極めて深刻な状況。明日からフル回転でやっても果たして間に合うか」と、強い危機感を示し、伴信彦委員は「他のプラントとの兼ね合いも考えながら現実的な対応を」などと述べた。関西電力からは現在、新規制基準適合性審査で、美浜3号機を含め、高浜1~4号機、大飯3、4号機の計7基の申請が出されており、規制委員会では今後、同社幹部と今後の対応について話し合うこととしている。
この他、9月30日の定例会合では、美浜発電所敷地内に分布する破砕帯について、「後期更新世以降に活動した可能性は低い」とする有識者会合の報告書が了承された。