基本的考え方ヒア 三島氏「研究炉の後継早急な検討を」

2015年10月9日

MishimaDSCF4865 原子力委員会は10月8日、三島嘉一郎原子力安全システム研究所技術システム研究所長から原子力利用の「基本的考え方」についてヒアリングを行った。
 三島所長は、日本の安全風土について、自国の技術を過信するなど基本的な思い込みに陥りがちなことを指摘し、「空気を読む」「あ・うんの呼吸」など曖昧なコミュニケーションに頼らず、きちんと正確な情報共有を行っていくことが大事だとした。
 原子力研究開発については、最終目的を意識して合理的な研究を行っていくことや、国産の解析コードおよび成果を活用していくことなどを求めた。また人材育成が喫緊の課題だとして、原子力分野の魅力や将来性を打ち出し、一般へのエネルギー・環境教育を拡充するなどの対策を求めた。
 研究用原子炉に関しては、技術革新や科学技術向上に必要不可欠であり、日本国内の研究炉の現状をふまえて将来の後継炉などについての早急な検討が必要だとした。また、使用済み燃料の対米返還についても今後の方針を決めていくべきだとした。
 中西友子委員からの基礎研究についての質問に対しては、「一時期は研究でも選択と集中を求められたが、やはり裾野が広くないと高いピークは出せない」と基礎基盤研究は重要であると改めて強調した。岡芳明委員長からの理解促進についての質問には、ホームページなどでの情報公開について「なぜそういうことをするのか、どういうプロセスでそのようになったのか、一般の人にもわかるように情報を出すべき」との考えを示した。
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 原子力利用の「基本的考え方」については10月6日の原子力委員会で、同時点での有識者意見の概要を原子力政策担当室がまとめて報告した上で今後の方針が示された。12月頃までは福島第一原子力発電所事故以外を中心として引き続き有識者からの意見聴取を実施し、2016年1月頃にとりまとめの議論を行って「基本的考え方」の案を作成する。1月以降パブリックコメントを実施して委員会決定とする。