規制委が美浜3の運転期間満了迫り関電よりヒア、八木社長「全力を尽くす」
原子力規制委員会は10月27日、臨時会議を開き、新規制基準への適合確認に係る審査が途上となっている関西電力美浜発電所3号機の運転期間満了(40年運転)が、2016年11月30日に迫っていることを重くとらえ、同社の八木誠社長らからヒアリングを行った(=写真)。
原子力規制庁によると、美浜3号機の新規制基準適合性審査については、2015年3月17日に、設置変更許可と保安規定変更認可の申請がなされているが、工事計画認可については、関西電力より「最新知見を反映した耐震評価手法の説明」の準備に時間を要することから、11月に申請予定との説明があったなどとしており、運転期間内に審査を完了できる見込みが立っていないという。また、申請期間が9月1日~12月1日となっている運転期間延長も申請されていない。さらに、同社の高浜1、2号機、大飯3、4号機の審査も途上となっていることから、美浜3号機の運転期間満了と他プラントの審査状況を踏まえ、今後の審査の進め方について検討する必要があるものとみて、今回のヒアリング実施となった。
関西電力の八木社長ら経営幹部は、美浜3号機に関わる審査資料の提出予定、時間を要している理由などを述べた上で、原子力部門以外の人員も含めて審査対応体制の強化を図っている状況を説明した。これに対し、プラント関係の審査を担当する更田豊志委員が、「今から全力を尽くしても間に合うかどうか」と危機感をあらわにし、審査側のリソースの限界から、事業者側で優先的に審査を進めるプラントを選択する必要を示唆すると、関西電力は、「迅速かつ適切な資料提出に全力を尽くす」として、バランスよく審査が進められることを求めた。
田中俊一委員長は、「バランスよく効率よくということに異論はない」として、事業者側の要望に理解を示しながらも、審査には予断を持つことはできないことを明言した。
会議終了後、記者団のインタビューに応じた八木社長は、供給力の安定化、電気料金の負担低減、地域経済の活性化を、「電気事業者の使命」と掲げ、「事業経営上重要なプラント」として、審査途上のいずれのプラントについても、早期再稼働に努めていく考えを強調した。また、同氏は、電気事業連合会会長として、電力各社から申請されている各プラントの審査に関し、規制委においては、先行する川内原子力発電所などの実績を踏まえた効率的な審査が、各社においては審査に対する真摯な対応が図られることを求めた。