第4回原子力協力日米二国間委員会会合 規制機関同士の人的交流など協議
民生用原子力協力に関する日米二国間委員会第4回会合が11月4日、米国ワシントンDCで開催され、杉山晋輔外務審議官とシャーウッド・ランダル・米エネルギー省(DOE)副長官の共同議長のもと、幅広い政府機関が参加。第1回会合で設置された5つのワーキンググループが、活動状況を共同議長へ報告し、議論を行った。
核セキュリティに関しては、日本にある高速炉臨界実験装置(FCA)からの米国に向けた高濃縮ウランおよびプルトニウム燃料の撤去がタイムリーに完了するよう最大限の努力を続けるなどとした。
民生用原子力の研究開発に関しては、高温ガス炉研究開発分野での核熱利用によるガスタービンシステムのテーマなどへの協力拡大を確認するとともに、軽水炉の研究開発分野での材料の経年劣化および地震に関する確率論的リスク評価手法の高度化など新たな協力可能分野を検討した。また4月に日本が締結して発効につながった原子力損害の補完的な補償に関する条約(CSC)について、他国への加入働きかけで協働することなどで一致した。
原子力安全および規制に関しては、原子炉監視アプローチや廃炉に関して日本の原子力規制委員会(NRA)と米国原子力規制委員会(NRC)の間で情報共有を拡大することや、2016年3月に米国で次回のNRA・NRC運営委員会会合を開催することなどを確認した。また2015年4月に開催された原子力発電所廃止措置に係る公開ワークショップなど最近の意見交換について強調したほか、NRC初となる日本への「海外派遣枠」設置を含むNRAとの人的交流についても協議した。
緊急事態管理に関しては、志賀で2014年に行った原子力総合防災訓練や、サウスカロライナでの「サウザン・エクスポージャー2015」訓練のような国家レベルの緊急事態への準備と対応に関する訓練の相互評価を継続していくなどとした。
廃炉および環境管理に関しては、米国側が「米国国立研究所福島サポートネットワーク」を創設し関与拡大にコミットするとともに、DOEがトリチウム水の処理や廃棄の代替案を探すために協力することや2016年4月に福島県いわき市で開催される第1回福島第一廃炉国際フォーラムを支援するなどとした。また望月義夫環境大臣とマッカーシー米国環境保護庁(EPA)長官が8月に行った政策対話での、環境回復活動の方針や放射性物質の環境中の挙動・曝露評価・汚染物質管理に関する研究結果を共有するとする共同宣言などについて再確認した。
米国と日本は、民生用原子力の商業協力に関する議論を継続する重要性および共有された核不拡散の目的の前進における二国間協力を継続することで一致した。次回会合は2016年中に日本で開催される。