関西電力、原子力安全性向上のロードマップ進捗状況公表

2015年11月12日

 関西電力は11月11日、原子力発電の安全性向上に向けた自主的・継続的取組(ロードマップ)の2015年度上半期の進捗状況を発表した。
 安全性向上のロードマップは、美浜3号機事故から10年を経過した2014年に、福島第一原子力発電所事故から学んだ教訓も踏まえて策定されたもので、このほど、安全性向上の取組をよりわかりやすく伝えていくため、体系を、(1)原子力安全の浸透および定着、(2)リスクマネジメントの充実、(3)原子力事業本部における安全性向上に向けた基盤整備――に再整理するとともに記載内容を充実化した。
 その中で、安全性向上のハード面の取組としては、津波発生時に海水ポンプの取水機能に影響が及ばないよう海底地盤に袋詰め割石を敷き詰める「海底土砂巻上げ防止対策工事」(大飯3、4号機)、既設消火水系統が破損しても重要機器の消火機能を確保する「消火水系統バックアップタンク設置工事」(同)、放水口エリアの液状化対策として地盤中に薬液を注入する「全周防潮堤地盤改良工事」(高浜発電所)をあげ、いずれも9月までに完了したとしている。
 また、ソフト対策では、事故時・平常時に安全対策を上層部に進言できる「安全俯瞰人材」の計画的育成・配置を行ったほか、指揮者机上訓練、給水訓練、電源供給訓練、電源喪失時の運転操作訓練、がれき撤去訓練など、「安全性向上を担うのは一人一人の従業員」との理念に基づき、上半期で約1,400回の訓練実績を積んでおり、今後は、原子力規制庁の緊急時対応センターとも連携したブラインド形式の防災訓練を通じ、より実践的な緊急時対応能力の強化を図っていく。
 リスクマネジメントの充実化の関連では、大飯発電所とフランスEDFのゴルフェッシュ発電所との姉妹発電所交流が4月に、福島第一事故から約4年半ぶりに再開された。ゴルフェッシュ発電所は130万kW級のPWR2基構成で、1994年に運転を開始しており、大飯3、4号機と年代、構造に共通点が多いことから、情報交換は実務の細部にわたり、緊急時対応要員の活動アクションシート整備、煙・爆音・ガス漏れ音発生装置を活用した臨場感を高める訓練、「ミスター防火区画」と呼ばれるエンジニアの区画ごとの配置など、緊急時対応の訓練内容や火災防護を中心に有益な知見が得られたとしている。