RCA海洋モニタリング報告 17日より海産物の調査も開始
D.オズボーン国際原子力機関(IAEA)環境研究所長は11月13日、IAEAによる原子力科学技術に関する研究、開発および訓練のための地域協力(RCA)プロジェクト「福島第一原子力発電所から放出された放射性物質がアジア太平洋地域に与える影響に関する海洋ベンチマーク調査」の分析報告について記者会見を行った。低レベル放射性物質の検出には、感度の高い装置と特定の手続きが確立されていることが必須となる。このため、25の分析機関(うち10が日本の機関)が参加したIAEA技術的試験(Proficiency Test)で福島県沖海水中のセシウム134、セシウム137、ストロンチウム90、トリチウムについての検出結果を照合し、ある一定範囲内のものを「受け入れ可能」な結果とした。日本の機関は総じて受け入れ可能な結果が多く、受け入れ不可率が2014年に11%(全体では13%)だったところを2015年には7%(全体では16%)と下げてきており、オズボーン所長は「日本の試験機関は非常に精度が高い」と述べた。また、アイルランド、ニュージーランド、IAEA、日本の各分析機関が検出した海水中と海底土中のセシウム134とセシウム137、海水中のストロンチウム90とトリチウム、海底土中のプルトニウム239および240の結果を、ハンガリーの独立分析機関が評価する比較調査でも統計学的な差異は見られず、日本のデータの信頼性が確認されたと述べた。
これまでの調査の対象は海水と海底土のみだったが、IAEAは11月12日、福島県沖で捕れた魚など海産物のサンプルも採取することを発表した。同ミッションは11月17日から20日まで日本を訪問する。