総合エネ調ワーキンググループ中間報告案、再処理事業実施で「認可法人」設立へ

2015年12月1日

 総合資源エネルギー調査会の原子力事業環境整備に関するワーキンググループは11月30日、新たな再処理事業実施体制の構築について盛り込んだ中間報告案を取りまとめた。電力システム改革による競争進展や原子力依存度低減など、新たな事業環境下においても、使用済み燃料の再処理が滞ることのないよう、必要な資金が安定的に確保され、適切かつ効率的に事業を実施する体制が整えられるよう7月から検討を進めてきたもの。現行の積立金制度から、使用済み燃料が発生した時点で予め必要な資金が確保されるよう「拠出金制度」に改めるとともに、事業の確実な実施が担保されるよう、実施主体は解散に制限がかかる「認可法人」として設立するとしている。
 新たな事業環境下、使用済み燃料の再処理実施に当たり、(1)安定的な資金の確保、(2)事業の実施体制(3)事業運営のあり方――に関する課題や懸念が顕在化するおそれがあるとして、中間報告案では、政府に対し、これらに対応すべく必要な措置を適切に講じるよう求める一方で、原子力事業者には「発生者負担の原則に沿って引き続き責任を果たすことを大前提とすべき」としている。
 現行制度化では、発電量に応じて使用済み燃料の再処理に必要な費用の一部を原子力事業者が積み立て、必要に応じ積立金を取り崩し日本原燃に支払いを行っているが、自由競争下で仮に破たんする事態が生じた場合、積立金が実施主体に渡らないおそれがあることから、新体制では、原子力事業者に対し毎年度、発電量に応じた再処理費用を実施主体に拠出することを義務付ける「拠出金制度」に改めるとした。また、実施主体は、民間主導で設立される一方で、国が必要な関与を行うことができる「認可法人」とし、(1)関係する事業全体を勘案した実施計画の策定、(2)拠出金額の決定・拠出金の徴収・管理――とともに、再処理に係る技術、人材、設備などが集積されていることから、日本原燃に事業を委託することを示唆し、(3)再処理等の実施または実施する事業者の選定・管理・監督――を担うことが適切としている。
 これまでのワーキンググループにおける議論で、委員の山名元氏(原子力損害賠償・廃炉等支援機構理事長)は、度重なる六ヶ所再処理工場の操業延期などを省み、新たな体制下、適確な技術判断の重要性を繰り返し強調している。