米国小児研究病院で日立製作所陽子線がん治療システムが稼働開始
日立製作所は12月15日、同社が陽子線がん治療システムを納入した米国テネシー州メンフィスのセント・ジュード小児研究病院で、治療施設「レッド・フロッグ・イベンツ陽子療法センター」が12月14日に開所したことを発表した。小児専用の陽子線がん治療システムとしては、世界初の稼働となる。
同システムは、190度回転ガントリを採用することで広い治療室空間を確保しており、治療の直前まで家族が小児患者に付き添える。また、2007年12月に陽子線がん治療システムとしては世界で初めて米国食品医薬品局(FDA)の販売認可を取得したスポットスキャニング照射技術を全室に採用している。同技術によって均一なエネルギーの陽子ビームを高い精度で制御し、複雑な形状のがんにも高精度に陽子線を照射できて不要な放射線の発生が少ないため、後遺症軽減などの点で特に小児がん治療への適用に効果が高い。
セント・ジュード小児研究病院のCEOである J.R.ダウニング医学博士は、「この陽子線治療施設の開所は、子どもたちへ後遺症を緩和する効率的な治療を提供するための重要な一歩」として、関係者の難病に苦しむ子どもたちを救いたいという強い気持ちのおかげだと謝意を述べた。日立の執行役常務ヘルスケア社社長の渡部眞也氏は、同施設の稼働は多くの人々が待ち望んだものであり、開所の素晴らしい瞬間を祝うことができて大変光栄だと祝福した。