福島第一原子力発電所事故の進展メカニズムが公表、柏崎刈羽の安全対策にも反映
東京電力は12月17日、福島第一原子力発電所事故の進展メカニズムに関する調査・検討結果を公表した。同社が廃炉作業の進展や原子力発電の安全技術の改善を図るため、事故発生後の詳細なメカニズムの未確認・未解明事項を抽出し分析を進めてきたもので、今回の結果取りまとめにより、進展メカニズムで重要な課題としていた10件について結論が得られたとしている。
その中で、事故発生時、2、3号機では、原子炉を冷やすため消防車による低圧注水を行っているが、その前段として、原子炉圧力容器を減圧し、低い圧力でも注水できるよう「主蒸気逃がし安全弁」を開ける操作を行ったものの、減圧が確認できなかった場面のあったことに関し、作動状況を検証している。「主蒸気逃がし安全弁」の開操作に際し、2号機では、電磁弁の作動に必要な直流電源が津波の影響により失われていたため、仮設バッテリーを使用し、駆動用の窒素についても、格納容器の外部から供給する系統が津波の影響で使用できなくなっていたため、格納容器内のガスタンクから供給することとなっていた。これらの事故時の状況を踏まえ、検証結果では、電源確保や窒素ガス供給圧力確保の重要性の他、過酷な環境で、電磁弁のシール材が劣化し窒素ガスが漏えいした可能性なども指摘されており、今後、電磁弁への電源供給手段の強化、シール材の耐久性向上、予備の窒素ガスボンベ配備、自動減圧機能の拡張など、柏崎刈羽原子力発電所の安全対策にも反映していくこととしている。
この他、今回の調査・検討結果では、溶融燃料の炉心下部への移行挙動など、計6件について述べている。