安倍首相、原子力防災会議で高浜3、4号の再稼働に向け政府の最終責任を明言

2015年12月21日

 政府の原子力防災会議は12月18日、関西電力高浜発電所に係る緊急時対応の確認結果を了承した。
 同会議の議長を務める安倍晋三首相は、「確認した内容を出発点に、関係自治体や事業者と緊密に連携し、実動部隊を含めた実際の訓練を通じ『緊急時対応』を継続的に検証、改善していく」と述べるとともに、原子力発電所の再稼働を進める政府の方針について、「万が一、原発事故が起きて災害になるような事態が生じた場合、国民の生命、身体や財産を守ることは政府の重大な責務」として、国による最終責任を明言した。
 また、安倍首相は、原子力災害対策に加え、廃炉、使用済み燃料対策、立地地域の振興他、原子力政策を取り巻く多岐にわたる課題に対し「総合的な政策対応を進めていく」とした上で、全国各地で説明会を行うなど、国民理解に努めていく考えを述べた。
 一方、福井県の原子力安全専門委員会は12月19日、高浜3、4号機の安全性向上対策に係る報告書を取りまとめ知事に提出した。両機の新規制基準適合性審査は2015年2月、原子炉設置変更許可に至っており、報告書では、その原子力規制委員会による審査結果を「適切」としているほか、事業者による緊急時対応を始めとする安全管理体制や、地震・津波などの外的事象への対応、中長期的な安全性向上対策の実施状況、高経年化技術評価(30年目評価)に関する確認結果も踏まえ、「原子炉の安全確保のために必要な対策は確保できている」と評価している。さらに、報告書では、規制委員会に対し、現地規制事務所の人員増強、事業者との相互理解の醸成、訓練を通じた初動対応能力と危機管理体制の実効性向上、テロへの対応強化を、事業者に対しては、経年変化の影響を受けつつある既設設備・機器や新たに設置した設備・機器について、設備改善や運用面での適正化に努めるとともに、局所的な安全対策にとどまらず、プラントシステム全体を俯瞰した継続的改善、計画的な人材育成により、安全性の維持・向上を図っていくことなどを求めている。
 福井県議会では、高浜3、4号機の再稼働を進める決議が12月17日に可決されており、これに続く再稼働に係る安倍首相による最終責任の発言、県独自による安全確認を総合的に勘案し、近く知事による判断が下されるものとみられる。
 また、12月18日、高レベル放射性廃棄物に関する最終処分関係閣僚会議も開かれ、経済産業省による取組状況の報告を受け、処分地選定に向けて、より適性が高い「科学的有望地」を2016年中に提示することを目指す方針が確認された。これを受け、実施主体の原子力発電環境整備機構の近藤駿介理事長は、「社会全体の利益であり現世代の責任。最終処分を実現するという使命の達成に向け事業活動を展開する」とのコメントを発表した。