原子力事業環境整備検討専門WGでの検討状況報告、再処理事業担う新法人設立など説明
資源エネルギー庁は1月12日の原子力委員会で、電力システム改革による競争の進展など、新たな環境下における使用済み燃料の再処理等に関する検討状況について報告した。
2016年4月からの電力市場における小売全面自由化を始めとする電力システム改革の進展や、新たなエネルギー基本計画に掲げる「原発依存度を可能な限り低減させる」との方針に伴い、これまで原子力事業者が共同で支え合う構造にあった再処理事業に影響が及ぶ可能性が生じている。このことを踏まえ、新たな事業環境下でも使用済み燃料の再処理等が滞ることのないよう、資金を安定的に確保して適切かつ効率的な事業を実施できるよう必要な措置を講じるため、総合資源エネルギー調査会に原子力事業環境整備検討専門ワーキンググループを設置し、2015年7月から11月まで5回の会合を開いて、このほど中間報告が取りまとめられた。
中間報告では、原子力事業者、新法人、国の三者間の責任・役割分担を整理し、使用済み燃料再処理事業の一義的な責任を、法律の規定によらなければ解散できない「認可法人」が担い、これまでの積立金制度を、各原子力事業者が再処理等に必要となる全ての資金を新法人へ拠出することを義務付ける「拠出金制度」へと改めることとしている。また、実際の事業実施については、再処理に係る技術、人材、設備の集積された日本原燃に委託することも可能な仕組みとしている。
これに対し、岡芳明委員長は、原子力発電所の再稼働が進まず、六ヶ所再処理工場の操業もこれからという時期にあるため、核燃料サイクルの議論についてはもう少し考える余地があるとの所感を述べた上で、プルトニウムバランスなどにも鑑み、原子力委員会として、中長期的に検討していく必要があるとの認識を示した。