鹿島他、福島第一海水配管トレンチの充填材「Hilo」開発で作業リスク低減
鹿島建設と東京電力は1月26日、福島第一原子力発電所で高濃度汚染水の流出リスクが問題となった海水配管トレンチ内部を充填する長距離水中充填材「Hilo」(ヒーロー)を共同開発したと発表した。「Hilo」は、水中100mの距離を流動させても材料分離や品質の低下が生じない特殊な材料で、新たに打設孔を設けることなく既存設備を利用した打設作業を行うことにより、作業員の被ばくなど、リスクを最小限に抑えた施工を実現する。充填作業は12月までにすべて完了し、2~4号機の海水配管トレンチ内に滞留していた約1万トンの汚染水の除去とともに安全に施工された。
長期の安全性・安定性の観点から、福島第一の海水配管トレンチ内に滞留する汚染水の除去は「セメント系の充填材」で置き換える方法を採用し、なおかつ作業員の被ばく線量と汚染水漏えいのリスクを極力少なくするため、打設箇所を既存の立坑のみとすることから、材料不分離のまま最長86.8m(3号機海水配管トレンチの立坑Cと立坑Dの間の流動距離)を水中流動できる充填材が必要となった。これらの要求に応えるため、「Hilo」の開発を行い、100mの水中流動実験によって性能を確認するとともに、福島第一構内に製造プラントを設置し、随時、供給できるシステムを構築した。「Hilo」は、福島第一の廃炉・汚染水対策以外にも、打設位置が限られた部位や小径管路・小隙間の充填など、配合を変えることにより、幅広い用途への応用が期待できそうだ。