JAEA試験研究炉の現状説明 早期の再稼働が急務
三浦幸俊日本原子力研究開発機構(JAEA)理事は2月2日の原子力委員会で、JAEAでの試験研究炉の現状と課題について説明した。
JAEAでは、JRR‐3、JMTR、NSRR、常陽、HTTRの研究炉5基と、FCA、STACYの臨界実験装置2基の計7基で今後も利用運転を計画している。試験研究炉は、技術開発のツールとしてはもちろん、人材育成にも不可欠だが、現在全ての試験研究炉が新規制基準への対応のために停止しており、役割を全く果たせない状況となっている。JRR‐3、HTTR、JMTR、NSRR、STACYは2015年3月末までに原子炉設置変更許可を申請しており、常陽は2015年6月に燃料交換機能の復旧作業を終了し2016年度の申請を予定している。新規制基準を早期にクリアして2016年度中にも再稼働を果たすことが急務であると同時に、高経年化対策、継続的な使用済燃料の措置、運転技術者の力量と士気の確保、廃止措置および次期研究炉等の検討等も必要不可欠だとした。
阿部信泰委員からの新規に建設するとしたらはどのような研究炉が良いかとの質問には、三浦理事個人の意見として照射利用とビーム実験の両方が1基で共有できる炉があると良いと述べた。中西友子委員からの研究戦略に関する質問に対しては、特に高温ガス炉研究や分離変換技術などで若い研究者に対しても魅力を示したいとの展望を述べた。岡芳明委員長は、長く止まっていた炉を動かしてシニア世代のスキルを若い人たちに継承していくことが最も重要だと述べた。