日商、東日本大震災から5年を機に復興・創生への要望を発表
日本商工会議所(三村明夫会頭)は2月18日、東日本大震災から間もなく5年が経過するのを機に、被災地事業者からの意見などを踏まえ、復興・創生の確実な実現に向けて要望事項を取りまとめ発表した。政府では、3・11から丸5年を控え、2016年度から5か年の「復興・創生期間」に取り組むべき重点施策を盛り込んだ新たな復興基本方針を示すものとみられるが、日商では今後、本要望を関係省庁などに働きかけ、特に深刻な課題とする(1)インフラ整備、(2)産業復興、(3)労働力確保、(4)福島支援――への重点的な対応を求めていく。
その中で、福島県については、原子力災害の影響により、他の被災地とは異なる課題に直面しているとして、(1)除染・汚染水処理や風評被害対策、(2)国の指導の下での原子力損害賠償、(3)企業立地促進のための優遇措置、(4)地域全体の再生を牽引するプロジェクト――を早急かつ着実に進めるよう要望している。
被災地商工会議所からは、道路の復旧に伴い、福島県のトラック通行による風評被害にも懸念の声が上がっているとしており、除染・汚染水処理の確実な実施とともに、放射線リスクに関する科学的知見の普及、食品中の放射能基準値見直し、福島県産品の安全性の周知を図っていくよう求めている。
また、原子力災害被災地では、商圏の消滅、売上高の大幅減少、労働力不足、物流コスト増大などにより、経営規模の縮小を余儀なくされた商工業者もあり、日商は要望の中で、事業者が被災前と同等の事業活動を行える見通しが立つまでの間、公正かつ着実な損害賠償により、個々の被害実態に見合った十分な期間と金額が確保されるよう指導して欲しいと訴えている。