東京電力 事故後3月14日には炉心溶融の判定が可能だったと公表

2016年2月25日

 東京電力は2月24日、福島第一原子力発電所事故当時の調査を進める中で、当時の社内マニュアル上「炉心損傷割合が5%を超えていれば炉心溶融と判定する」ことが明記されていることが判明したと発表した。新潟県技術委員会から、東京電力が炉心溶融を公表したのが発災から2か月後の2011年5月24日だったという情報発信の遅れに関する課題を受け、事故当時の国および自治体への通報・報告の内容も含めて調査を進めてきたもので、上記マニュアルを十分に確認せずに「炉心溶融を判断する根拠がなかった」という誤った説明をしたことを詫びた。同社によると、2011年3月14日早朝、3号機の原子炉格納容器内放射線量の監視計器が回復したため、原子炉格納容器内放射線量と炉心損傷割合を確認することが可能だった。
 東京電力では、調査を進める中で、3月11日の津波襲来直後に、より速やかに通報・報告できた可能性のある事象があることを確認したとしており、炉心溶融を判定・公表できなかった経緯や原因の他、当時の通報・報告の内容についても詳細に調査を行っていくとしている。
 新潟県技術委員会では、福島第一原子力発電所事故検証に係る課題別ディスカッションの論点として、「メルトダウン等の情報発信のあり方」について、2013年11月より、東京電力からヒアリングを実施するなど、集中的に検討を行っていた。
 今回の公表を受けて、新潟県の泉田裕彦知事は「極めて遺憾」とし、今後真摯に調査し真実を明らかにして欲しいとのコメントを発表した。