環境省有識者懇談会、「2050年に80%削減」実現に向け提言
環境省の有識者懇談会は2月26日、2050年までに80%の温室効果ガスを削減する長期目標の達成に向け、新たな「気候変動・経済社会戦略」の考え方を示す提言を取りまとめた。2015年のG7エルマウサミットでは、世界全体の温室効果ガス削減目標として、2050年までに2010年比40~70%の上方の削減を共通ビジョンとすることが合意されており、この達成への道筋とともに、日本が直面する経済的・社会的課題の同時解決を目指す戦略を、昨秋より環境相の私的懇談会で議論してきたもの。
提言では、「2050年に80%削減」実現に向けたエネルギー需給の方向性として、(1)可能な限りのエネルギー需要を削減、(2)電力は再生可能エネルギー等の低炭素電源を9割以上とし排出はほぼゼロ、(3)電化の促進――を掲げた上で、その実現は「現状の延長線上にはなく現在の価値観や常識を破るくらいの取組が必要」と述べ、時間軸を明確化することや、社会構造を新しく作り直すイノベーションについて説いている。
エネルギー消費量については、温室効果ガス排出量の約9割をエネルギー起源CO2が占める現状を踏まえ、まずは、ライフスタイルの見直しや建物の断熱性能向上を通じ、可能な限りの削減に努めるべきとしている。また、消費エネルギーの大部分が化石燃料に由来し、温室効果ガスの大量排出の要因となっていることから、再生可能エネルギーや高効率火力発電の導入を推進し、安全性が確認された原子力発電を活用するなど、エネルギー低炭素化の必要を述べている。
安倍内閣は2013年11月に、「攻めの地球温暖化外交戦略」(ACE)の中で、「2050年までの世界全体の温室効果ガスの排出量半減、先進国全体で80%削減」の目標を打ち出し、温暖化問題解決のイノベーション促進に向け、世界の産官学のリーダーが集結する国際会議「ICEF」を毎秋開催している。