日立とレドレン社が次世代医療診断機器に向けた共同開発で合意
日立製作所の100%子会社である日立メディコと、カナダのRedlen Technologies Inc.(レドレン社)は3月7日、次世代の医療診断機器である光子計数型断層撮像装置(PCCT)用半導体検出器モジュール共同開発での合意を発表した。レドレン社は、世界トップクラスのCZT半導体(テルル化亜鉛カドミウム)のメーカーで、CZT半導体は主に医用画像診断装置や非破壊検査装置などに使用されている。今回の合意は、4月以降の日立グループ内の組織再編に伴い、日立製作所が承継することとなる。
今回、日立とレドレン社が共同開発する半導体検出器モジュールは、次世代の医療診断装置として期待が高まっているPCCTの検出器部分に使用される。現在普及しているCTは得られる情報に限界があるが、レドレン社が開発したCZT半導体をPCCTに用いることで、指定した物質のみの断層画像を得られるようになり、機能画像(病巣の性状)による診断もできるようになる。例えば、血液中の脂質プラークや石灰などの物質を鮮明に画像化でき、動脈硬化などの予防指導にも活用できる可能性がある。また、PCCTはX線による被ばく量の低減、診断の定量化、高分解能化などの面でも期待されている。
日立とレドレン社は共同で、半導体検出器から得られる多量のデータを高速に処理する信号処理技術を開発するとともに、レドレン社が製造するCZT半導体を検出器モジュールに実装する技術開発を進める。さらに日立は共同開発で得られた検出器モジュールを用いたPCCTを開発していく。
渡部眞也日立執行役常務/ヘルスケア社社長は、「フォトン・カウンティングCT装置は、低被ばく、高機能・高精度な次世代の診断装置であり、臨床の応用分野が広がると期待されている」として、レドレン社との共同開発を通じて、ヘルスケアイノベーションに貢献していくことに意欲を見せた。グレン・ビンドレー・レドレン社社長は「CT装置のパイオニアの1社である日立と共同で、PCCT用半導体検出器が提供する新しい医療CTのさらなる可能性を追求できることは光栄」と述べている。