今後5か年の「復興・創生期間」基本方針が閣議決定、帰還困難区域見直しの考え方が今夏にも

2016年3月11日

 政府は3月11日、東日本大震災からの新たな復興基本方針を閣議決定した。発災後2020年度にかけての復興期間10年間のうち、2016年度以降の後期5か年となる「復興・創生期間」において、重点的な取組事項を示すもので、原子力災害被災地については、遅くとも2017年3月までに、避難指示解除準備区域・居住制限区域の避難指示を解除できるよう、環境整備に取り組むなどとしている。基本方針は、復興の進捗状況を踏まえ、3年後を目途に見直しを行う。
 これに先立つ3月10日、安倍晋三首相は、本基本方針の原案を取りまとめた復興推進会議で、福島については、新たな5か年を「『本格的な復興』に向けたステージ」ととらえ、避難住民の早期帰還に向けて関係閣僚らと連携のもと環境整備に取り組むとしたほか、福島第一原子力発電所の廃炉・汚染水対策の進展に関して、「高い志を持ち続けた大勢の作業員の方々の献身的な働きの賜物」と敬意を表した上で、引き続き政府として、全面に立って安全かつ着実に進めていく姿勢を示した。
 続いて官邸内で行われた記者会見で、安倍首相は、先般の福島訪問で感じとった地元酪農家の復興への情熱に触れながら、今後5年間の「復興・創生期間」に、被災地の自立につながる支援を行っていくとして、常磐自動車道の4車線化やJR常磐線の2019年度内全線復旧を目指すとともに、帰還困難区域の見直しに向けた国の考え方を今夏までに示すことを明らかにした。また、風評被害の払拭について、安倍首相は、多くの外国人が実際に福島を訪れ地元の食材を味わうことが何よりの対策などと述べる一方、東北6県の外国人宿泊数の回復低迷を憂慮した上で、2016年を「東北観光復興元年」として、今後5年間に海外旅行会社スタッフを2,000人規模で招き入れ、東北の魅力を体験してもらう「東北プロモーション・キャンペーン」を展開する考えを示した。