高専機構人材育成フォーラム 柔軟性持つ若手の新しい思考に期待
国立高等専門学校機構(高専機構)の2015年度原子力人材育成事業フォーラムが3月14日、東京で開催された。同フォーラムは文部科学省の国際原子力人材育成イニシアティブ事業として採択された2014年度から3年間実施する事業の成果報告会であり、高専の学生や教職員と産学官関係者の交流の場として実施。今年は、全国27高専から50名(うち学生22名)が参加した。
続いて原子力人材育成等事業連携運営委員会責任者の高田英治富山高専教授が、2015年度の高専機構事業報告として、長岡技術科学大学や日本原子力研究開発機構でのインターンシップ、富山高専・鹿児島高専・福島高専での原子力・放射線関連実習、GIネットによる遠隔講義、東海の日本原子力研究開発機構での実習などについて説明した。遠隔講義では、スマートフォンでリアルタイムに意見を集計できるシステムを使い、発言しやすい環境を提供しているほか、事前と事後のアンケートで理解度を把握するなど、内容をより充実させるために活用している。また、原子力関連テキストの英訳および統一的な学生実験テキストの開発、原子力関連卒業研究・特別研究の連携事業、ポケット線量計やNal(TI)シンチレーションサーベイメータでの測定、フォーラム開催なども意欲的に取り組んでいることも紹介した。
その後、原子力・放射線関連卒業研究・特別研究および参加高専の取り組みについての成果発表として、約30の高専や原子力人材育成に取り組む機関がポスターセッションを行った。徳島県の阿南工業高専では、5人の部員による放射線工学愛好会が、全国の大学などで実施しているインターンシップや乗鞍観測所での宇宙線観測などへの参加報告を行った。原産協会もポスター展示とともに、放射線をわかりやすく解説する小冊子や対話集会で使用した資料などを配布した。
最後の全体討論では、課外活動とリンクした研究や地元と協力した取り組みなど、高専ならではの活動に高い評価が寄せられた。福島高専の学生は、担当教官の研究室に入ったことを転機に、自分でも何かできることがないか真剣に考えるようになったと語り、卒業後の進路について「4月から日本原子力研究開発機構に場を移して、廃炉に立ち向かいたい」と意欲を示した。