規制委、福島第一凍土壁の凍結開始を認可

SHASUIHEKI

陸側遮水壁山側のブライン(冷媒)移送管ⓒ東京電力

 原子力規制委員会は3月30日、東京電力福島第一原子力発電所で、原子炉建屋内への地下水流入量を低減させ、汚染水を抑制する凍土方式陸側遮水壁の凍結開始を認可した。
 この凍土壁は、汚染源に水を「近づけない」重層的対策の1つで、1~4号機建屋を取り囲んで、地盤中に所定の間隔で凍結管を埋設し、これに冷媒を循環させて凍結管を中心とする同心円状に土中の間隙水を凍らせ、全長約1,500mの凍土を造成する工法だ。都市部の地下鉄工事など、開掘削が困難な工事で多数実績があるが、福島第一における凍土造成量は約7万立方mで、これまでの同工法適用では最大規模となる。
 陸側遮水壁の凍結に係る安全性については、主に地下水位の管理を論点に規制委員会の検討会で技術的評価を行ってきたが、建屋周辺地下水の水位低下に伴う滞留水漏えいを防止する観点から、海側からの先行凍結や山側凍結の停止判断基準などを妥当なものと判断し、このほど、3段階で行う凍結作業のうち、第1段階となる海側全面凍結と山側の部分的凍結が認可されることとなった。
 東京電力では、陸側遮水壁凍結の第1段階について、凍結開始から3~4か月を2つのフェーズに分け、凍結状況を確認しながら慎重に作業を進めることとしている。