規制委、研究炉で新規制基準に適合との「審査書案」を初めて取りまとめる
原子力規制委員会は4月13日、京都大学臨界実験装置「KUCA」(100W)と近畿大学研究炉「UTR-KINKI」(1W)について、新規制基準に適合しているとする「審査書案」を取りまとめた。研究炉の新規制基準適合性審査では初めてとなる。今後、原子力委員会と文部科学省への意見照会を経て、原子炉等規制法に基づき設置変更許可となる運び。
京大「KUCA」と近大「UTR-KINKI」はそれぞれ、2014年9月、10月に規制委員会に審査が申請されており、京大の施設では同時期に申請された研究炉「KUR」(5MW)が審査中となっている。
現在、新規制基準への対応のため、国内すべての研究炉が停止しているが、長期停止に伴い、原子力人材育成や産業利用に支障をきたしつつある状況から、日本原子力学会では、このほど取りまとめた研究炉の役割に関する中間報告の中で、早期再稼働に向けて、規制委員会と研究機関・大学とが意思疎通を図り円滑に審査が進むよう提言している。
また、原産協会の高橋明男理事長は2015年10月、研究炉停止の長期化により、技術の維持発展を支える人材層が薄くなり、原子力産業の基盤が失われることにつながると懸念し、早期の運転再開を求めるメッセージを発表している。