日立製作所、香港初となる陽子線がん治療システムを受注

2016年4月19日

 日立製作所は4月18日、香港で初となる陽子線がん治療システムを、香港養和病院のグループ会社から受注するとともに、10年間にわたるシステムの保守契約を締結したと発表した。2020年までに稼働を開始する予定。
 今回、日立は、複雑な形状をしたがんにも高い精度で照射できるスポットスキャニング技術を搭載し、回転ガントリ室2室を備えた陽子線がん治療システムを香港養和病院の新病院内に設置することとなったが、本システムは、狭い敷地にも対応するよう、加速器と複数の治療室をそれぞれ上下階に配置した構造となっており、今後、都市部に設置するモデルケースとなりそうだ。
 日立は、2007年にスポットスキャニング技術を搭載した陽子線がん治療システムで、世界初となる米国食品医薬局の販売許可を取得し、世界最大級のがんセンターである米国M.D.アンダーソンがんセンター他、国内外に陽子線がん治療システム納入しており、2015年度には米国の3施設で新たに治療が開始されるなど、信頼性と実績で定評を得ている。今回の受注を受け、同社ヘルスケアビジネスユニットの渡部眞也CEOは、「都市部の限られたエリアに設置するため、これまでにない画期的な施設になる。香港養和病院とのパートナーシップは、アジアにおける陽子線がん治療システムの先進的な一例になると確認している」と述べている
 香港養和病院は、香港大手の民間総合病院で、質の高い先進の医療技術や患者中心の看護を提供するアジアで最も優良な病院の一つとされており、2020年までに17階建ての新病院を建設し、陽子線がん治療システムはその地下に設置される予定だ。同病院の幹部は、「『クオリティ・イン・サービス、エクセレンス・イン・ケア』をモットーとしている。われわれは日立とのパートナーシップのもと、このソリューションをいち早く提供したい」と期待を寄せている。