経産省専門家会合、福島第一のトリチウム水処分方法で評価結果

2016年4月20日

 経済産業省の福島第一原子力発電所廃炉・汚染水対策に関する専門家会議は4月19日、多核種除去装置(ALPS)で取り除くことができないトリチウムを含む水の最終的な処分方法としてあげられた地層注入、海洋放出、水蒸気放出、水素放出、地下埋設について、必要な期間、コスト、施設規模、二次廃棄物発生量などの試算結果を公表した。
 それによると、処分量を80万立方m(現状の1~4号機タンク総水量約74万立方mを元に設定)とし、400立方m/日、各選択肢で適用される告示濃度上限で処分するとした場合、放水口の放射性物質の告示濃度まで希釈した後、海洋放出する方法が最も低コストとなるとしている。コスト試算では、調査、設計・建設、処分、解体、監視の各工程に要する合計額が、海洋放出で約17~34億円となり、他の方法より大幅に安価だった。一方で、地下にコンクリートピットを施工しトリチウム水とセメント系固化材を混ぜ流し込む地下埋設では、約800億~2,500億円にも上った。また、海洋放出は、処分終了までの期間も約52~88か月で、希釈倍率にもよるが他の方法より概して短く、監視期間、施設規模、二次廃棄物発生量、作業員被ばくでも優位となった。