研究炉のあり方 原子力委員会が見解

2016年4月26日

 DSCF6020原子力委員会は4月26日、京都大学原子炉実験所KUCAと近畿大学原子力研究所UTR-KINKIの新規制基準への適合性について妥当であると答申した。また、今後の試験研究用等原子炉施設のあり方について見解を発表した。
 見解では、全研究炉が2年以上休止していることで、原子力関係の人材育成に深刻な影響が及んでおり、国内で実施不可能な研究開発等もあること、また、運転再開しても高経年化対策、使用済み燃料の米国への返還、核セキュリティ対策、将来の廃止措置等への備えが必要であり、特に廃止措置について「使用済み燃料管理及び放射性廃棄物管理の安全に関する条約」履行の観点からも対応が必要であることを課題として挙げた。今後、優先度の高い研究炉に集中的に人的・経営資源を投入して規制対応等に効果的に取り組み、日本原子力研究開発機構(JAEA)が大学等研究機関・民間企業に対する施設・設備の供用を一層促進させることを求めた。また運転再開以降、研究炉を取り巻く環境全体を俯瞰した上で各炉の優先度を明確化し総合的な対応策を検討すること、当該研究炉・施設を熟知した関係者の参加が得られるうちにタイムリーな廃止措置を行うこと、2016年4月の核セキュリティ・サミットで日米が合意した京都大学臨界集合体実験装置(KUCA)の低濃縮化と高濃縮ウラン燃料の全量撤去を着実に実施することを期待した。
 岡芳明原子力委員長は、「研究炉は基礎研究の象徴的な装置」であるとして、各機関がプラスになるかたちで利用が図られるような取り組みを求めた。