早大・三菱重工が災害対応向け脚型ロボットを開発、垂直はしごも昇降可能
垂直はしごを滑落せず従来の12倍速く昇降可能な脚型ロボットが、早稲田大学、三菱重工業などが推進する研究プログラムでこのほど実現した。滑落防止のため4肢のうち3つを固定した「3点支持」のロボットでは、はしごの昇降に極めて時間を要していたが、新たなアルゴリズムの開発により、左手左足または右手右足の「2点支持」により迅速な垂直はしごの昇降が可能となったもの。原子力プラントや老朽インフラの点検、災害対応などでの活躍が期待される。本研究成果は、内閣府/科学技術振興機構が主導する革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)によるもの。今回の研究成果によると、従来の「3点支持」ロボットでは、1段の昇降に5つの動作で120秒を要するほか、垂直はしごへの取り付き動作ができなかったが、全身各質点の運動の影響を考慮する「多質点モデル」によるアルゴリズムを脚型ロボットに応用することで、床面から垂直はしごへの取り付き動作が可能で、1段の昇降を10秒で行える「2点支持」ロボットを実現した。さらに、モーターの出力を上げることで1段の昇降に要する時間は4秒にまで短縮可能としており、ImPACTのロボティクス分野でプログラムマネージャーを務める田所諭・東北大学教授は、「脚型ロボットが人間よりも速くプラントなどの高所によじ登り、危険個所の非破壊検査や作業を実施できるために必要」などと、実用化に向けた展開に期待を寄せている。
本研究プログラムでは今後、ImPACTの画像処理分野との連携により、昇降中の転倒回避や、移動能力だけでなく作業能力の向上など、脚型ロボットの高度化を進めていくこととしている。