関西電力、「原子力保全総合システム」を高度化
関西電力は、原子力発電所の設備情報と保全業務を一元管理する「原子力保全総合システム」について、新規制基準で新設した重大事故等対処設備を追加するなど、再構築を行い、5月24日より本格運用を開始した。同社が従来から取り組んでいる「原子力発電の安全性向上に向けた自主的かつ継続的な取組のさらなる充実」(ロードマップ)の一環として、2012年より開発を進めてきたもので、管理対象設備数は、美浜、高浜、大飯の計11基の原子力発電所で約74万点に上る。
関西電力では、機器の部位ごとの劣化事象を抽出し、故障の影響度を評価した上で、設備環境、使用状況などに応じて保全内容(点検項目および点検期間等)を決定する「信頼性重視保全」の考え方を電力業界で初めて導入するとともに、既存の管理システムをすべて統合し一元管理できる「原子力保全総合システム」を構築し、2003年より運用を開始するなど、保全業務のシステム化を進めてきた。福島第一原子力発電所事故を経て、2012年6月より、保全内容の適正化、新規制基準への対応、確率論的リスク評価(PRA)の活用など、保全業務のさらなる高度化に的確に対応するため、本システムの再構築を行いこのほど本格運用開始となった。
今回のシステム高度化により、一連の保全業務進捗状況の見える化や、協力会社と一体となった保守管理がさらに充実するとしている。
また、関西電力は同日、ロードマップの2015年度下期進捗状況も公表しており、その中で、2月に起きた高浜4号機トラブルへの反省として、「一層の緊張感を持って全社を挙げて安全対策を徹底していく」などとしている。