福島第一陸側遮水壁、凍結範囲の9割が0度C以下に
東京電力は5月26日、福島第一原子力発電所廃止措置の月例報告を発表した。
汚染水の増加を抑えるための対策として、3月末より海側および山側の一部の凍結を開始した陸側遮水壁(凍土壁)では、凍結範囲の約9割の地中温度が0度C以下となったほか、遮水壁内外の地下水位の水位差が徐々に確認されており、引き続き、凍結の進捗を見ながら必要な箇所には水ガラス注入など、追加対策も検討することとしている。
また、原子炉建屋の高所エリアの除染を行うロボット「高所用ドライアイスブラスト除染装置」では、現場実証が1~2月に3号機原子炉建屋1階で実施され、壁面の凹凸部分への適用など、課題は残るものの除染性能が確認されたとしている。国際廃炉研究開発機構のもと、東芝が主体となって開発した同ロボットは、ダクト、配管、壁などにこびりついた汚染物質を、ドライアイスのパウダーを噴射して薄く削り取ることで除染するもので、吸引機能も備えており、ドライアイス自体は昇華してしまうため二次廃棄物が少なく母材を傷めにくいという特長がある。
炉内燃料デブリの位置把握に向けては、宇宙線由来のミュオンによる調査が、3月より2号機で実施されている。約2か月のデータを蓄積した途中経過によると、原子炉格納容器や使用済み燃料プールの影が確認されるなど、順調にデータが得られており、今後も測定を継続し原子炉内の燃料デブリの存在を評価していくとしている。このミュオン透過法は、2015年2~9月に1号機の調査で用いられており、炉心域に1m以上の大きな塊がないという結果が得られている。