文科省の「もんじゅ」検討会が報告書、運営主体が備えるべき要件を掲げる
日本原子力研究開発機構「もんじゅ」の在り方に関する文部科学省の検討会は、5月27日の会合で、今後の運営主体が備えるべき要件について報告書を取りまとめた。報告書はその場で検討会座長の有馬朗人氏(根津育英会武蔵学園学園長)より馳浩文科相に手渡された。
本検討会は、2015年11月に原子力規制委員会が、「もんじゅ」で相次いだ保守管理不備問題を重くとらえ、原子力機構の所管官庁の長である文科相に対し、機構に代わり安全運転を行える事業者を特定するよう勧告したのを受け、電気事業連合会や立地自治体からのヒアリング、現地視察などを行い議論してきた。報告書では、「もんじゅ」の運営主体が具備すべき要件として、(1)研究開発段階炉の特性を踏まえた保全計画の策定および遂行能力、(2)現場が自律的に発電プラントとしての保守管理等を実施するための体制、(3)実用発電炉に係るものを含めた有益な情報の収集・活用体制、(4)機構により培われた技術の確実な継承とさらなる高度化、(5)社会の関心・要請を適切に運営に反映できる強力なガバナンス――があげられた。特に、ガバナンス体制の刷新に関しては、社会的要請を適切に組織経営に反映させる観点から、外部専門家が参画する経営協議体設置の必要性が指摘されたが、報告書取りまとめに際し、委員の一人である原産協会の高橋明男理事長は「もんじゅ」を成功裏に進めるためには「ゴッドファーザーのような存在や強烈なリーダーシップが必要」などと述べている。
文科省では、今回の報告書取りまとめを第1段階として規制委員会に報告した上で、続く第2段階として、エネルギー基本計画における「もんじゅ」の位置付けを踏まえ、関係省庁とも連携しながら新たな運営主体の検討に入る運びだ。